2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の野生鳥類の寄生虫相に関する調査と寄生虫相データベースの構築
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22570100
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Research Institution | Meguro Parasitological Museum |
Principal Investigator |
巖城 隆 財団法人 目黒寄生虫館, 研究員 (70263473)
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Keywords | 動物 / 鳥類 / 寄生虫相 / 生物多様性 |
Research Abstract |
生物多様性研究の一環として、日本に生息する鳥類の寄生虫相を調査し、寄生虫標本および形態学的観察データ、および寄生虫の遺伝子データの蓄積を行なうとともに、鳥類寄生虫相について分布・生態と併せて考察し、さらに、従来の日本産鳥類の寄生虫相データを整理して、データベースを作製し公開することを目的として研究を行なった。 1.鳥類検体の収集:山階鳥類研究所(連携研究者:鶴見みや古、小林さやか)などから譲渡された、事故・有害鳥獣駆除などにより死亡・収集された鳥類検体80種137検体の検査を行なった。 2.寄生虫の採集・標本作成・形態学的観察:生鮮あるいは冷凍保存検体を解剖して寄生虫類を採集し、所定の方法で固定・染色・透化・封入して標本を作製した。それらの標本を顕微鏡、撮影装置および画像解析ソフトを用いて観察・計測した。昨年度に引き続き同定作業を継続中だが、チュウシャクシギからは新種と考えられる吸虫Pittacium sp.,および日本では初報告の吸虫Himasthlarhigedena,線虫Schistorophuが検出された。ハヤブサから初めて有棘顎口虫Gnathostoma spinigerum・日本顎口虫G. nipponicumの幼虫が検出された。 3.寄生虫の遺伝子解析:同定が完了した寄生虫類の一部については京都大学・霊長類研究所(連携研究者:岡本宗裕)にて遺伝子解析中で、完了次第、遺伝子データベースに登録予定である。 4.過去の研究成果の整理・公開:過去に日本の野生鳥類から報告された寄生虫種のデータ(1856件、鳥類215種・寄生虫類684種)をデータベースソフトFileMaker Proを用いて入力・整理し、目黒寄生虫館ホームページにて公開している(15.備考を参照)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
)多種の鳥類検体の検査を行なっているため、検出される寄生蠕虫も比較的多岐にわたり、その同定作業と資料収集に思いのほか時間がかかっている。そのため寄生虫相データベースに登録すべき文献の入力も予定より遅れ気味である。平成23年度に投稿し受理された論文の掲載に時間がかかっており、発表が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究により、日本の鳥類の寄生蠕虫種は多岐にわたり、まだ未解明の点が多いことを改めて認識している。現在は寄生虫の検索・同定作業を研究代表者がほぼ独りで行っているが、今後は共同研究者を集めて寄生蠕虫の分類群ごとに分担して検索・同定作業を行なう必要があると思われる。また、寄生虫相データベースの作成については、専門的文献の検索については寄生虫学研究者が担当する必要があるが、データ入力は研究協力者に依頼し作業分担して効率化することが必要である。
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Research Products
(4 results)