2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓酵素に見出した糖鎖認識による消化・吸収と外分泌調節機構の解明
Project/Area Number |
22570111
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 温子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (90143700)
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Keywords | 膵臓酵素 / 消化・吸収 / 外分泌調節 / 糖鎖認識 / 糖代謝 / 糖尿病 / Na^+-Glc共輸送体1(SGLT1) / α-アミラーゼ |
Research Abstract |
申請者らは動物の成育に必須なエネルギーおよび栄養獲得の過程において働く膵臓消化酵素が、糖タンパク質の糖鎖に対する特異的結合性を有し、糖鎖結合により酵素活性が調節されることを発見した。本研究では、各酵素と複合糖質レセプターとの相互作用が膵臓外分泌において果たす機能を解明することを目的とした。 ブタ膵臓より分泌穎粒内容物(ZGC)および分泌穎粒膜(ZGM)をショ糖密度勾配超遠心により精製し、SDS-PAGEで成分を分離した後、PVDF膜に転写し、標識した膵臓酵素との相互作用を調べたところ、各酵素はpHによらずZGC中の複数のバンドと結合した。一方、ZGM中のバンドに対しては分泌顆粒内のpHであるpH5.5においてpH7.5より著しく強く結合した。またZGC中にヘパラン硫酸が含まれることが見出された。8種類の精製膵酵素混合溶液を用いてpH4.0-7.0の溶液中での凝集実験を行うと、酵素混合物のみでは凝集は観測されなかったが、グリコサミノグリカンを添加するとpH5.5の弱酸性下で凝集が生じた。さらに、終濃度が0.2Mになるように単糖を加えると、シアル酸を加えたときに顕著な阻害が生じた。また顆粒形成において静電的相互作用が凝集の過程に関わることも示唆された。凝集後のサンプルを遠心分離で沈殿と上清とに分け、それぞれの画分について組成を調べたところ、膵酵素によって凝集物への取り込み程度が異なることが示された。顆粒形成時には、トランスゴルジ内での局所的な低pH、または低塩濃度の領域が形成され、コアとなり凝集塊が形成されるという仮説が立てられた。さらにトリプシノーゲン/トリプシンの糖結合部位をX線結晶解析により2か所ずつ推定することができたので、変異体作成による機能確認を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分泌顆粒形成の初期段階に、酵素の糖結合性が関与する可能性が見出された。またトリプシノーゲン/トリプシンの結晶化とX線結晶解析に成功し、糖認識部位の候補が2か所得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
トリプシノーゲン/トリプシンでの糖認識部位のアミノ酸を塩基置換により変異させて、糖結合性欠損変異体を作成する。糖鎖認識部位の検証を行うとともに、酵素分泌過程への影響を細胞中で調べる予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Novel anti-HIV-1 activity produced by conjugating dextran with polyL-lysine2012
Author(s)
Nakamura, K., Ohtsuki, T., Hoshino, H., Tanamoto, K., Mori, H., Ushijima, H., Kawasaki, N., Akiyama, H., Yajima, T., Sakagami, H., Ogawa H.
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Journal Title
Antiviral reserch
Volume: 94
Pages: 89-97
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Novel anti-HIV-1 mechanism of pseudoproteoglycan, conjyugate of unsulfiated glycans with poly-L-lysine, is different from that of sulfated polysaccharides2011
Author(s)
Kano F., Nakamura K., Hoshino H., Otsuki T., Oue A., Shimisu N., Nakamura T., Sakagami H., Ogawa H.
Organizer
21^<st> International Symposium on Glycoconjyugates
Place of Presentation
オーストリア・ウィーン
Year and Date
2011-08-26
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