2010 Fiscal Year Annual Research Report
26Sプロテアソームの低分解能結晶構造解析による分子様態に関する研究
Project/Area Number |
22570113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森本 幸生 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (80200450)
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Keywords | プロテアソーム / 結晶構造解析 / 脱ユビキチン化酵素 |
Research Abstract |
プロテアソーム・ユビキチンシステムは、生体内の貴重なエネルギーを使ってタンパク質を分解し細胞の代謝回転を安定に保ち、かつ抗原ペプチドを切り出して免疫反応に備える機能を持つ。このタンパク分解・抗原提示などのメカニズムは、分解活性の根幹をなす20Sプロテアソームとその両端に結合する19S調節因子あるいは活性化因子PA28(11S調節因子)による原子レベルで高度に制御された一連の酵素群の協調によって成り立っている。そこで、この複合体全体の構造・動態と機能を探るため、粒子を壊さずそのまま結晶構造解析を行うことを目的とした。 26Sプロテアソームは酵母より単離精製するが、その際安定に精製可能なようにフラグを導入した改変酵母株を利用し、ここから得られた26S試料および調節因子部分について、結晶化および溶液散乱による形状解析を行った。26s結晶はSpring-8超分子ビームラインを用いて回折実験を行いビームストッパー位置などを工夫して、13.5Å分解能までの8220個の独立な反射強度データを得ることができた。結晶学的データはa=212 b=365 c=469,空間群C2221と見積もられた。この回折データを用いて、また26S粒子の中心である20S粒子の座標を用いて位相決定を行っている。これとともに26S試料の溶液散乱での測定を行った。26S全体粒子と、ゲルろ過で分離された調節因子部分の大きさを散乱強度データの解析から見積もり、その形状解析から20Sの樽状構造の両端に非対称な調節因子を結合させた初期モデルを構築した。この得られた26S全体の座標モデルを元に、上記回折データでの位相決定に利用する予定である。さらに26S両端基底部に結合する脱ユビキチン化酵素の結合部位を含んだC末端領域の試料調製も行っているが、良質な結晶はまだ得られていない。
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