2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着・細胞運動制御に関与するネクチン様分子の構造生物学的研究
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22570115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 守 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40280507)
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Keywords | 構造生物学 / X線結晶学 |
Research Abstract |
細胞接着(アドヘレンスジャンクション、タイトジャンクション、デスモソーム、ギャップジャンクション)は細胞と細胞との間に作られ、これらは互いに相互作用している。細胞接着は、組織や臓器の形成に必須であると共に、その異常はがんなど多くの疾患の原因になっている。 細胞接着の開始は、増殖しながら運動している細胞同士が衝突して接触することにより行われる。細胞の増殖と運動を促進するネクチン様分子(Necl)が細胞の運動先導端において、細胞接着分子ネクチンとが相互作用することにより細胞の増殖と運動が停止され、ネクチンとカドヘリンによるアドヘレンスジャンクションが形成され、続いてクローディンによるタイトジャンクションが形成される。 ネクチン様分子(Necl)は5つのメンバーからなるファミリーを形成している。Neclは1回膜貫通型の蛋白質あり、N末端が細胞外を向いており、3つの免疫グロブリン(以下、Ig)フォールド(V-set、C2-set、C2-set)で構成されている。Neclはネクチンと同じ分子構造を取っているが、1次配列の相同性は20%と低く、さらにC末端にアファディン結合配列が無いためアクチン細胞骨格と連結しないという点がネクチンと異なる。課題代表者がすでに構造解析に成功しているネクチン1に加え、Neclファミリーの構造が明らかになれば、細胞表面での接着、運動制御のメカニズムを立体構造に立脚して議論できると考えている。 今年度は昨年度に引き続き、大腸菌発現系を用いたヒト由来のNecl-1~5の細胞外領域の大量発現の検討を大腸菌発現系を用い行った。すでに着手していたネクチンの場合と同様、どれも可溶性画分には得られなかった。そこで、封入体としての精製法および、大希釈法による巻き戻し条件の検討を行い、複数のコンストラクトにおいて精製に成功し、結晶性と思われる析出物を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養条件、精製条件および結晶化スクリーニングを行い、いくつかの蛋白質で結晶性の析出物を得ることに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
目的蛋白質を大腸菌発現系を用いて封入体として、リフォールディング操作により結晶化蛋白質を得ることを行ってきた。しかし、リフォールディングではNativeと構造が異なっていることが危惧され、さらに収量も低いことから、昆虫細胞を用いた発現系に移行することにした。
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