2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570122
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
伊藤 恭子(新澤恭子) 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 助教 (70206316)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / ミトコンドリア呼吸鎖 / 2次元結晶 / ラマン分光法 / フラビン / 鉄硫黄クラスター |
Research Abstract |
NADH:ユビキノン酸化還元酵素、(以下複合体I)はミトコンドリア呼吸鎖の最上流部に位置し、NADHからユビキノン(Q10)へと電子を伝達すると共にプロトンを能動輸送する45種類のサブユニットから構成される分子量1000Kの巨大な膜たんぱく質複合体である。このように生理的に重要である一方ミトコンドリア中での主な活性酸素の発生源となっており医学的にも興味が持たれている。本酵素の反応機構を解明するためには立体構造を2次元及び3次元結晶を用いて解明するとともに振動分光学的手法(ラマン、赤外)を用いて活性中心周辺の詳細な立体構造を明らかにすることが必要である。 ウシ心筋ミトコンドリア膜からデオキシコール酸とデシルマルトシドにより可溶化し、ショ糖密度勾配遠心、イオン交換クロマトグラフィーと硫酸アンモニウム分画により精製を行った酵素標品は高い活性と特異的阻害剤ピエリシジンAに対する感受性を保持していたが、ピエリシジンAによる滴定実験の結果、得られた標品中には活性を示さない変性された酵素が含まれることが明らかとなった。そこで、硫安分画の代わりにショ糖密度勾配遠心を行った。すると変性酵素が取り除かれ、2㎛四方以上面積を持つ高い結晶性を示す2次元結晶がえられ、その再現性が格段に高まった。しかし、2次元結晶から電子線回折データを収集するには頻度がまだ不十分であった。2次元結晶を重層させた3次元結晶化を試みたところ偏光顕微鏡下で偏光を示す3次元結晶様の塊は観察されたが単結晶の可能性を示すX線回折は得られなかった。 共鳴ラマン分光法を分子量1000Kの本酵素に適用し、FMN及び鉄硫黄クラスターのラマン線を精度よく酸化型酵素のラマンスペクトルに確認した。更に酸化還元にともなう変化を捉え、この結果とバクテリア由来酵素の構造を比較により本酵素の活性酸素産生を抑える仕組みが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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