2011 Fiscal Year Annual Research Report
固体NMRによる新規室温磁場配向膜を用いた膜表在性タンパク質脂質結合機能の解明
Project/Area Number |
22570126
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
西村 勝之 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (00334631)
|
Keywords | 膜タンパク質 / 固体NMR / 配向試料 / バイセル / 膜表在性 / PLCδ1 / PHドメイン / 開発 |
Research Abstract |
本研究は膜表在性タンパク質(ヒト由来PLC-δ1PHドメイン;hPH)をモデルタンパク質として、NMRを用いて膜表在性タンパク質の構造、および機能解析のための手法開発、および同タンパク質の機能発現機構を解明することを目的としている。 野生型および部位特異的変異導入hPEのゲルシフトアッセイによる基質結合活性解析を行った。その結果、hPHに特徴的に存在するα2ヘリックスの二次構造変調が、基質結合を著しく阻害することが明らかとなり、さらに基質結合部位とα2ヘリックスとの相互作用を媒介する残基の同定に成功した。これは、基質とは直接結合しないα2ヘリックスが、hPHの機能発現に極めて重要であることを示す発見である。 また、研究期間中に主解析装置であるNMR分光器が故障したため、復旧までの間、共通機器の溶液NMR分光器を用いて、以下の研究を行った。hPHに関して特定のアミノ酸残基の部位特異的同位体標識試料および、その欠損株を用いて信号帰属を行い、IP3の結合に伴うPHドメイン全体構造の変化を溶液NMRで解析した。PLC-δ1のPHドメインが特徴的に持つα2ヘリックスは、PHドメインのPIP2への結合の際、脂質膜表面に非特異的脂質結合することによって脂質結合を保持する補助的な役割を果たすと考えられていた。本α2ヘリックスはIP3非結合状態では不均一であるが、IP3結合に伴い、構造が均一化すること、さらにIP3結合を安定化させる役割を担うことが新たに判明した。 また、当該研究に資する静止試料用プローブの開発、および測定に必要な周辺機器の開発中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
測定の中心となるNMR分光器が長期間に渡って故障したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
装置の修理は完了したので、粛々と研究を遂行する。
|