2011 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫に関わる受容体タンパク質CD14と膜とリガンドとの相互作用解析
Project/Area Number |
22570127
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
三浦 薫 (野村 薫) 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所, 研究員 (90353515)
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Keywords | 自然免疫 / 固体NMR法 / 脂質二重膜 / GPIアンカー / 酵母培養系 |
Research Abstract |
我々は、GPIアンカー結合型受容体タンパク質CD14と脂質二重膜との相互作用を固体NMRを用いて解析することを目指しているが、GPIアンカー結合型のCD14を直接発現、精製するのは非常に困難である。そこで、試料調製として水溶性のCD14を発現、精製し、これにGPIアンカーを後ほど結合することを計画している。昨年度までに、CD14の発現の検討は完了している。CD14の精製の手順としては1)His-tag精製、2)His-tag部分を切断、3)陰イオン交換クロマトグラフィー、4)糖鎖の切断、5)ゲルろ過を計画しているが、今年度はhis-tag精製に使うresinの再検討から行った。 1、非標識CD14の精製 His-tag精製に使用するresinを、ニッケルをキレートしたものからコバルトをキレートしたresinに変更することにより、精製の効率が向上した。また、his-tag精製後はhis-tagは必要がないので、酵素により切断し、さらに陰イオン交換クロマトグラフィーにより不要となった酵素やhis-tag部分とCD14を分離した。その後に、CD14の会合を防ぐように糖鎖の根元から3糖を残し、タンパク質のシグナル観測の邪魔になる糖鎖の切断を試みた。3糖を残した切断が可能な酵素であるα-mannosidaseを用いて切断を行った。酵素の切断後にゲルろ過精製をしたところ、ゲルろ過のピークが大きな分子量を示し、CD14が会合していることがわかった。 2、GPIアンカーミミックの合成 水溶性CD14に後ほど結合させてGPIアンカー型のタンパク質にするため、GPIアンカーミミックを合成した。その結果、固体NMRでの測定に必要な量のGPIアンカーミミックが合成できた。これをDMPCの脂質二重膜に再構成させたところ、GPIミミックが存在していてもミセル化を起こすことなく綺麗なリポソームを形成したので、この合成品を使って目的とするサンプル調整が出来ることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD14は糖鎖が付加しているため、NMRでそのままシグナルを測定すると、糖鎖のシグナルがバックグラウンドにでて、タンパクの糖鎖以外のピークの観測の妨げになってしまう。これを回避するために、糖鎖の根元の3糖を残して、残りの糖鎖部分は全て切断しようと試みているが、糖鎖の切断を行うとCD14が会合してしまい、精製が困難になってしまうため。
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Strategy for Future Research Activity |
CD14へのGPIアンカーミミックの結合と膜への再構成を行き成り行う前に段階を踏んで、簡単なモデル系で検討する方が確実であると思われる。CD14の代わりに、NMRでもモデルタンパクとしてよく用いられていて、化学シフト値や3次元構造が既知のGB1をモデルタンパクとして、GPIアンカーミミックとの結合と膜への再構成方法の検討、さらに、GPIアンカーにより膜に再構成されたGB1の固体NMRでの測定方法の検討を先に行った方が成功への近道になると思われる。そこで、先にこのモデル蛋白を用いて、想定している実験がうまく働くか、方法論の確立を行いたい。その後に、再度CD14を用いて、GPIアンカー型CD14の模倣分子を脂質二重膜に再構成して、CD14と膜とリガンドとの相互作用解析を行うことを目指すつもりである。
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