2011 Fiscal Year Annual Research Report
不溶性セルロース分解をめざした耐熱性人工酵素創製に関する基盤研究
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22570128
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上垣 浩一 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (00356544)
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Keywords | バイオマス / セルラーゼ / キチナーゼ / 融合酵素 / ドメイン / 耐熱性 / 糖分解酵素 / 高機能化 |
Research Abstract |
近年,トウモロコシ等,食物の持つ糖を利用した発酵法でのエタノール生産(バイオエタノール産生)が注目を集めている。しかし,食物を利用する限り,食糧問題とエネルギー生産のバランスをどう調整するかという問題が生じてくる。そこで食物と競合しない木質系バイオマス(廃材等)を利用し,糖を生産することができれば,バイオマス利用の促進に大きな弾みをつけることができる。そのためには,硬い結晶構造をもつセルロースを主成分とする木質系バイオマスを高速で分解することのできる,強力な酵素セルラーゼの開発が渇望されている。既に研究代表者らは,木質系バイオマスの酵素的分解に利用可能な有用超耐熱性セルラーゼを開発することを目標に,Pyrococcus horikoshi由来の超耐熱性セルラーゼの触媒ドメインと他の好熱性古細菌(Pyrococcus furiosus)由来の糖分解酵素キチナーゼが持つ基質吸着ドメインとの融合化を行い,不溶性基質に強い活性を持たせたセルラーゼの高機能化研究を行っている。昨年度ではこの融合セルラーゼをさらに高機能化させる指針を得るため、セルラーゼのC末に吸着ドメインを融合し、その際に用いるリンカー長の効果の検証を行った。その結果、最適なリンカー長は10から30アミノ酸程度である事を明らかにしアミノ酸配列によるリンカーの自由度も重要であることを明らかいした。本年度はN末に融合させた際のリンカーの長さによる影響の度合いを明らかにするため各変異体の発現系の構築と精製を行い各変異体の不溶性基質に対する分解活性をソモギーネルソン法を用い比較検討した。興味深い事にN末に吸着ドメインを融合した場合、リンカー長が長い方が活性増強効果が高く、効果を調べた最長のリンカー長(50アミノ酸)で最大の効果が得られた。ただし、増強効果は2倍程度でありC末に融合した場合よりも効果は少し劣る事が判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書にはN末に融合させた際のリンカーの長さによる影響の度合いを明らかにするための研究を行うとしている。研究実績概要にもあるようにN末への融合の効果の検証を達成し、ほぼ目標の研究を行う事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究で融合酵素開発に資するリンカー長の影響を概ね、評価する事が可能となった。そこで今後は基質に対する親和性をさらに高めるために吸着ドメインの多重化を行い、親和性と融合酵素の活性についての相関を得る研究を行う。さらに結晶構造解析にも挑戦し開発してきた人工酵素の構造学的基盤情報の取得も試みる。
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Research Products
(18 results)