2010 Fiscal Year Annual Research Report
2型ミオシンアイソフォームの細胞内動態制御の分子基盤
Project/Area Number |
22570129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 正行 北海道大学, 大学院・理学院研究院, 准教授 (50241295)
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Keywords | ミオシン / 細胞運動 / 細胞骨格 / フィラメント / アイソフォーム |
Research Abstract |
2型ミオシン(ミオシンII)の2種類のアイソフォーム(IIAとIIB)が細胞内において、いかにして時空間的にフィラメントを形成し機能するのかを明らかにすることを目的とし、特に重鎖の尾部の役割に注目し研究を進め、今年度は以下のことを明らかにした。(1)各アイソフォームの約100アミノ酸残基のC末端尾部フラグメントのARF93とBRF102、及びそれらのnonhelical tailpieceの欠損変異体、さらにnonhelical tailpieceを交換したキメラ変異体を用いてCDスペクトルの測定を行なった。その結果、nonhelical tailpieceの高次構造がアイソフォーム間で異なる可能性を見いだした。また、これらの尾部フラグメントのα-helical coiled-coil構造の熱安定性を解析したところ、ARF93がBRFI02よりも熱安定性が高く、この安定性の違いはnonhelical tailpieceのみにはよらず、そこから少しN端側の部分が関与することが示唆された。(2)重鎖全長のIIA及びIIBのC-63領域を交換したキメラミオシンIIの細胞内局在が交換したC-63領域に依存することがわかった。このC-63領域は上記のnonhelical tailpieceとそのN端側の部分を含む。(3)尾部が折り畳まれた10S構造を形成する際に、平滑筋ミオシンにおいて調節軽鎖と結合することが報告された部位に相当する非筋細胞ミオシンIIBの部位を、10S構造を形成しない骨格筋ミオシンの相当配列に置換したキメラ変異体をヒト繊維芽細胞に発現させ、その挙動を解析した。その結果、キメラ変異体は細胞内で偏った局在を示すことがわかった。この局在は遊走中の細胞で顕著に見られ、キメラ変異体は遊走中に後方に取り残されるような挙動を示した。さらにこの変異体は、野生型に比べて細胞内で高度に会合していることが分かった。これはキメラ変異体が10S構造をとれずに常に伸びた構造をとっているためだと考えられる。以上のことから、10S構造はミオシンIIが不活性化時に会合してフィラメントになることを抑制する役割をもつと考えられる。
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