2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570132
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥脇 暢 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50322699)
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Keywords | 遺伝子 / 核小体 / 細胞核 / リボソーム / クロマチン / RNA |
Research Abstract |
本研究では、クロマチン構造制御にかかわるRNA-タンパク質複合体に着目し、クロマチン構造制御にかかわる新規のRNA分子を同定することを目的として研究を進めている。目的達成のため、以下3点について実験を進めた。 1.クロマチン構造変換にかかわるRNA複合体の精製 2.目的RNA分子の配列決定 3.RNA複合体の試験管内再構成 1、2については、核小体タンパク質Nucleophosmin/B23を細胞抽出液から精製し、精製画分に含まれるRNAの配列決定を行った。幾つかのRNA分子がB23とともに精製されることが明らかとなり、B23-RNAの細胞内での相互作用の確認を行った。同定されたRNAはいずれもB23とともに共沈降されるが、どの程度特異性を持って相互作用しているのかは今後さらに検討する必要がある。また、精製されたB23-RNA複合体は、モノヌクレオソームから、ヒストンをはがす活性を有することを見出した。今後、複合体の中のB23とRNAがどのように協調してクロマチン構造変換にかかわるのか、その分子機構を明らかにする。さらに、核小体に局在するヒストンシャペロンNucleolinについてもB23と同様の解析を進めた。NucleolinはB23と同様に、RNA結合依存的に核小体クロマチンにリクルートされ、RNAの転写調節にかかわることを明らかにした。今後、Nucleolin、B23とともに機能するRNA分子を明らかにし、RNA-タンパク質複合体によるクロマチン構造制御機構を明らかにするとともに、これらの複合体の細胞内機能の解明も進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二つのRNA結合活性を有するヒストンシャペロンについて解析を進め、それぞれについて特異的に相互作用するRNAの実体が明らかになりつつある。また、細胞内でのこれらのRNA-タンパク質複合体の機能の解析も進めており、研究計画全般としてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
B23の解析を中心にクロマチン構造変換にかかわるRNA分子の候補はすでにいくつか同定された。しかし、これまでのところ、同定されたRNAがどの程度特異的にB23と相互作用し、機能的な複合体を形成しうるのか、明らかにできていない。これまでの解析から、B23はRNAの何らかの構造に親和性を持つものと考えられ、様々な構造をとるRNAを合成し、B23との相互作用を検討していく。また、RNA-タンパク質複合体の細胞内機能についても、核小体クロマチン制御に着目して研究を進める。
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