2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成因子BMPシグナルによる造血微小環境のホメオスタシスの制御
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22570135
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
辻 邦和 東京医科歯科大学, 歯と骨のGCOE拠点, GCOE拠点形成特任教員 (20323694)
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Keywords | 骨形成因子(BMP) / BMP4 / BMP7 / 造血微小環境 / 造血幹細胞 / コンディショナルノックアウトマウス |
Research Abstract |
骨芽細胞は、骨髄における造血微小環境(HSCniche)の重要な構成要素であることが示されている。本研究では、骨芽細胞の増殖分化に必須である骨形成因子(BMP)シグナルの、骨髄内造血のホメオスタシスにおける生理機能を明らかとすることを目的とする。本研究期間内では以下の項目について検討を行っている。(1)骨髄特異的BMP2,4,7コンディショナルノックアウトマウスを作成し、それらの造血系の異常を解析することで、造血系のホメオスタシスにおける個々のBMP分子の生理機能を評価する。(2)BMPシグナルを介したHSCniche、間葉系幹細胞微小環境(MSCniche)の相互作用の分子メカズムの解析を行うことを最終目標として、BMP2,4,7分子とそれらの受容体(Alk2,Alk3,Alk6,ActRIIa,ActRIIb,BMPRII)の骨髄内における局在を明らかとする。 本研究期間内において、骨髄特異的BMP4またはBMP7のコンディショナルノックアウトマウス、及びBMP4とBMP7のダブルコンディショナルノックアウトマウスの作成を行い、骨髄細胞の表面マーカーの解析を行ってきた。その結果、BMP4コンディショナルノックアウトマウス、BMP7コンディショナルノックアウトマウスともに、血液細胞(赤血球、T細胞、B細胞、単球/マクロファージ)のポピュレーションに変化は見られなかった。ところが、BMP4コンディショナルノックアウトマウスにおいて造血幹細胞(LSK細胞)の数はコントロールマウスに比して有意に低下した。造血幹細胞のポピュレーションは、BMP7コンディショナルノックアウトマウスでは変化が見られず、BMP4とBMP7のダブルコンディショナルノックアウトマウスの表現型はBMP4コンディショナルノックアウトマウスのものと同等であったことから、骨髄内造血幹細胞の維持においてBMP4がユニークな生理機能を有していることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究概要(1)に示したBMP分子の骨随特異的ノックアウトマウスの骨髄の表現型の解析はおおむね順調に進行している。やや遅れているとの自己評価は、未だ論文投稿が完了していない点である。本年度は、概要の項目(2)の実験並びに論文作成に注力を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題のこれまでの実験結果及び私の過去の研究成果より、同一の受容体を認識する各BMP分子(特にBMP2,BMP4,BMP7)は、異なる臓器のホメオスタシスにおいて異なる生理機能を有していることがあきらかとなった。今後の方策の重要な柱の一つは、各BMP分子がそれぞれユニークな生理活性を持つ分子メカニズムを解析することである。この目的で、本年度は研究概要項目(2)に示した、各分子の時空間特異的分布の解析及び遺伝子発現の定量的解析を行うことを試みる。
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Research Products
(2 results)