2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペルオキシダーゼファミリーを代表する酵素DyPの触媒メカニズムの解明
Project/Area Number |
22570136
|
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
菅野 靖史 日本女子大学, 理学部, 教授 (90282855)
|
Keywords | アントラキノン / 加水分解 |
Research Abstract |
平成23年度は、DyPの反応メカニズムの解明を進めるうえで、過酸化水素が触媒反応にどのように関与するかを重点的に調べた。DyPは、アントラキノン染料を脱色するが、その際にアントラキノン骨格の加水分解反応も触媒する。しかし、この加水分解反応を担う水分子がどこから供給されるのか不明であった。そこで、反応に使う過酸化水素の酸素を安定同位体の酸素18で置き換えた過酸化水素を用い、反応生成物に18Oが含まれるか否かを質量分析装置で調べた。その結果、反応生成物の18Oは、測定限界以下であった。この結果から、加水分解反応に預かる水分子は、必ずしも過酸化水素由来の水分子ではなく、反応溶媒中の水分子と同等に関与すると結論付けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DyPがマルチファンクション型の酵素である事は、これまでの研究から明らかである。さらに、過酸化水素由来の水分子が選択的に反応に関与しない可能性が示された。この結果、溶媒の水分子の重要性を明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
DyPの反応メカニズムの内、コンパウンドIと名付けられた反応中間体の形成プロセスが未解明であるので、この解明に重点を置く。
|