2010 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜ラミニン特異的な情報発信を担う細胞接着装置の解明
Project/Area Number |
22570141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雅司 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90304055)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 基底膜 / ラミニン / インテグリン / テトラスパニン / CD151 / 細胞内シグナル |
Research Abstract |
インテグリンα3β1を基盤とする細胞接着装置のプロテオミクス解析を、質量分析装置を用いて行った。その際、単にインテグリンα3抗体を用いてアフィニティー精製を行うのではなく、ラミニン上に接着させた細胞より"substrate-attached material (SAM)"を調製し解析に用いた。SAMとはインテグリンを介して基質に接着している細胞の接着点"細胞の足"のことであり、培養基質に接着した細胞をEGTA処理により剥がすことで得られる。SAMについては1970年代から1980年代にかけて生化学的な解析が進められてきたが、現在その解析はほとんど行われていない。そこで、プロテオミクス解析が進歩した今、再び"細胞の足"SAMに着目することにより、接着基質ラミニンに結合した、即ち活性化し機能しているインテグリンα3β1接着複合体を選択的に集め解析を行った。独立に三回の解析を行った結果、共通に検出される蛋白質を2,265種類見出した。さらに、ラミニンおよび間質ECMであるI型コラーゲン上からSAMを調製し、害部のSAM蛋白質についてウエスタンブロット解析を行った。その結果、インテグリンα3、およびその結合蛋白質として知られるテトラスパニン蛋白質CD151がラミニン特異的にSAM画分で検出されることを見出した。また、細胞を剥がした後の基質を、CD151抗体を用いて免疫染色した結果、基質に残されたSAMにCD151が局在することを確認した。 CD151に結合する蛋白質のプロテオミクス解析を、質量分析装置を用いて行った。その結果、calnexinが高い特異性をもってCD151に結合することを見出した。calnexinは従来、小胞体に局在することが知られているが、細胞膜表面にも一部発現している。細胞表面ビオチン化法を利用して結合解析を行った結果、CD151が細胞表面に局在するcalnexinと会合していることを明らかとした。
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