2011 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜ラミニン特異的な情報発信を担う細胞接着装置の解明
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22570141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 雅司 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (90304055)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 基底膜 / ラミニン / インテグリン / テトラスパニン / 細胞内シグナル / 細胞遊走 / 細胞極性 |
Research Abstract |
接着装置Substrate-attached material(SAM)のプロテオミクス解析 SAMは、培養基質に接着した細胞をEGTA処理により剥がす際に得られる"細胞の足"のことであり、基質との接着装置を含むと考えられる。私は、このSAMに着目し、基底膜の主要細胞外マトリックス蛋白質であるラミニン-511上に形成される細胞接着装置の解析を、ヒト肺腺癌由来のA549細胞を用いて行った。その結果、このSAMにはインテグリンに加えてテトラスパニンウエッブ蛋白質(CD151,CD9,CD81,CD98,CD44,ADAM10)が多く含まれることを見出した。それに対し、接着斑関連蛋白質はほとんど検出されなかった。また、EGTA処理によるSAMの形成は、Rhoキナーゼ阻害剤Y-27632およびミオシンII阻害剤blebbistatin添加により遅延することがわかった。さらには、エンドサイトーシスを抑制するdynamin阻害剤dynasoreによっても阻害が観察された。これらのことから、SAMは、遊走細胞の尾部において観察されるretraction tailに類似していることがわかった。 ラミニン結合性インテグリンと会合するCD151に結合する蛋白質の探索 CD151-FLAG発現細胞からFLAG抗体ビーズおよびFLAGペプチドを用いてCD151-FLAGを分離し、一緒に取れてくるものをCD151結合蛋白質としてLC-MSを用いたプロテオミクス解析により同定した。その後、生化学的解析により結合蛋白質候補としてsyntaxin-6,CD98,Scamp3,calnexinを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想していた結果とは異なる知見が得られ、それに合わせて研究の方向性を若干修正したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られた知見をもとに、SAM構成蛋白質およびCD151結合蛋白質の機能解析を行う。具体的には、RNAi法により目的蛋白質のノックダウンを行い、細胞接着や遊走、増殖、生存等への影響を調べる。また、免疫蛍光細胞染色を行い、目的蛋白質の細胞内での局在を調べる。さらには、蛍光蛋白質と融合させた目的蛋白質を発現させ、細胞遊走時における目的蛋白質の時空間的動態をリアルタイムで観察する。最終的には、得られた結果を今年度中に学術論文として発表する。
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