2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物シトクロムb561の膜貫通電子伝達反応制御機構
Project/Area Number |
22570142
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鍔木 基成 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00145046)
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Keywords | シトクロムb561 / 部位特異的変異体 / メタノール資化性酵母 / 膜タンパク質 / ビタミンC / アスコルビン酸 / モノデヒドロアスコルビン酸ラジカル / 電子伝達 |
Research Abstract |
Cytochrome b561は動物神経系内分泌小胞膜に発見されたタンパク質であり、細胞質側と小胞内側にそれぞれ1つずつ合計2個のヘムを持った6回膜貫通構造をとっていると推定されている。近年、植物組織にも存在することが明らかとなったが、その生理機能については詳しくわかっていない。最近になって植物b561も細胞質側ヘムでのアスコルビン酸からの電子受容と小胞内側ヘムでのモノデヒドロアスコルビン酸ラジカルへの電子供与を行っていることが明らかになった。しかし細胞質側から小胞内側までどのような経路で分子内電子伝達を行っているのかはわかっていない。本研究では2つのヘムの中間に位置し、分子内電子伝達に関与していると思われる膜貫通ヘリックス4において高度に保存されているGln134残基とPhe142残基それぞれの部位について3種、合計6種の部位特異的変異体(Q134Y,Q134F,Q134A,F142Y,F142W,F142A)を発現するための遺伝子構築を行い、各変異体について発現・精製・解析を試みた。パルスラジオリシス法による電子伝達解析においては、どの変異体においても、MDAラジカルへの電子伝達速度および再還元過程での電子伝達速度の両方での低下が見られたが、特に前者での速度低下の方が顕著であった。以上のことから、今回注目したGln134残基、Phe142残基の側鎖はいずれも、新たな芳香環の導入に伴うk_2への影響が小さく、芳香族アミノ酸から類似のアミノ酸への置換ではTrp残基のかさ高さによる影響等が見られたことから、膜貫通電子伝達反応に直接的に関与するものではなく、むしろタンパク質全体の構造維持への寄与が大きいと考えられた。膜貫通電子伝達の際の経路は芳香環をホッピングする機構よりむしろ、ペプチド主鎖をトンネル効果により伝達する機構をとっている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)