2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル酵素システムの動作原理の解明-酵素研究の新しいパラダイムを求めて-
Project/Area Number |
22570143
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
虎谷 哲夫 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特命教授 (70026318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 貴史 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10362443)
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Keywords | 酵素 / B_<12>補酵素 / 酵素の触媒機構 / 再活性化因子 / X線結晶解析 / 理論計算 |
Research Abstract |
1.B_<12>補酵素関与ジオールデヒドラターゼにおける金属イオンの触媒的役割 ジオールデヒドラターゼのX線結晶解析において、基質が直接配位している金属イオンは当初カリウムイオンと帰属された。しかし、全酵素モデルを用いた量子力学/分子力学計算の結果、これをカルシウムイオンとした方が配位距離がX線構造とよく合致し、実際に生化学実験によってその存在が確認された。カルシウムイオンはルイス酸性が強く、移動しない水酸基のGluα170による脱プロトン化を促進し、Aspα335の反触媒的効果を克服して、水酸基移動を促進することが計算により確認できた。 2.B_<12>補酵素関与ジオールデヒドラターゼのグリセロールによる不活性化を受け難い酵素への再設計 ジオールデヒドラターゼはグリセロールによる機構依存的不活性化を受ける。グリセロール結合型酵素-シアノコバラミン複合体のX線結晶解析を行い、本酵素のグリセロールによる不活性化の詳細なメカニズムを解明した。その結果に基づき、活性部位残基であるSerα301あるいはGlnα336をAlaで置換することにより、グリセロールによる不活性化を受け難い酵素が得られた。また、これらの二重変異型酵素はより長鎖の1,2-ジオールに作用するようになった。 3.大腸菌のYgfDタンパク質はB_<12>補酵素関与メチルマロニルCoAムターゼの再活性化因子として働く ヒトのB_<12>代謝システムの機能不全による代謝異常症は8つのクラスに分けられており、MMAAの遺伝的欠損はメチルマロン酸尿症を引き起こす。MMAAとホモロジーの高い大腸菌YgfDタンパク質の機能を調べた結果、YgfDはB_<12>補酵素、GTP、Mg^<2+>存在下で、不活性な酵素-メチルコバラミン複合体を活性化すること、その際に、酵素と複合体を形成してメチルコバラミンを解離させることから、YgfDは本酵素の再活性化因子として働くと結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ論文化できていない研究成果もあるが、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22、23年度の研究により順調に成果が得られてきているので、最終年度である平成24年度にはそれらの研究を完成させ、全てを論文化できるように努力する所存である。
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