2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570145
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
十島 二朗 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (00333831)
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Keywords | エンドサイトーシス / アクチン / シグナル伝達 / 癌 / クラスリン |
Research Abstract |
本年度計画に沿って以下の研究を実施した。1つ目の研究課題である「活性化した受容体のクラスリン小胞への移動機構の解明」については、リガンドー受容体の移動を制御する蛋白質の同定を試みた。酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより、ユビキチン化したSte2pに結合する蛋白質の解析を行い、Ste2受容体に特異的に結合する幾つかの蛋白質の単離に成功した。この中で、哺乳類14-3-3蛋白質酵母ホモログであるBmh2pをSte2pの新規結合蛋白質として解析を進めた。哺乳類14-3-3蛋白質は様々な種の細胞において幅広く発現し、高度に保存されているアダプター蛋白質であり、標的蛋白質とリン酸Ser/Thrを介して結合することが知られている。Bmh2pがSte2pにリン酸化依存的に結合するか調べるため、脱リン酸化型Ste2pを作製し結合を調べた。この結果、Bmh2pは脱リン酸化型受容体とは結合しなかった。BMH2遺伝子はクラスリン遺伝子と遺伝学的に相互作用することが報告されており、また、近年哺乳類ホモログである14-3-3も細胞内輸送に関与することが報告されている。これらのことからBmh2pはSte2pのクラスリン被覆小胞によるエンドサイトーシスに関与している可能性が高い。また、Bmh2pの他に機能未知蛋白質であるYlr419wを同定し、現在その機能を解析中である。2つ目の研究課題である、「クラスリン小胞の初期エンドソームへの輸送機構の解明」については、クラスリン小胞とエンドソームの会合メカニズムを明らかにするために、蛍光標識したエンドサイトーシスマーカーを用いて、クラスリン小胞-エンドソーム間の輸送に異常がみられる変異体をスクリーニングした。本年度は、出芽酵母の全遺伝子(約6500種類)の約半数の変異体についてスクリーニングが完了し、約50種類の輸送に異常が見られる変異体を同定した。また、クラスリン小胞やエンドソームに局在する蛋白質、もしくはリソソーム(液胞)への輸送に関わる蛋白質の中から約40種類を選別し、これらの遺伝子欠損変異体におけるクラスリン小胞の動態を解析した。この結果、数種類の変異体において、顕著なクラスリン被覆形成の異常が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画(I)については、Ste2受容体のユビキチン化機構の解明を目標として、その結合タンパク質の同定を試みた。この結果、いくつかのSte2特異的結合タンパク質の単離に成功した。研究計画(II)については、出芽酵母遺伝子欠損変異体のスクリーニング、およびアクチン変異体の解析を行っており、ほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
リガンドの結合により活性化した受容体がクラスリン小胞へと移動する機構を明らかにする。これまでの研究において、私達は出芽酵母のSte2受容体のクラスリン小胞への移動にはユビキチン化が必要であることを明らかにした。また、酵母ツーハイブリッドスクリーニングにより、ユビキチン化したSte2pに結合する蛋白質の解析を行い、Ste2受容体に特異的に結合する幾つかの蛋白質の単離に成功した。今後は哺乳類の受容体を用いて、そのエンドサイトーシスにおいて、ユビキチン化が必要であるかどうかについて解析する。哺乳類のサイトカイン受容体を出芽酵母の発現ベクターにクローニングし、出芽酵母へ発現させる。この際、C末端にGFPを付加することにより、哺乳類の受容体が正常に細胞膜に局在するかを調べる。また、リガンド刺激により、受容体のユビキチン化、およびエンドサイトーシスが促進されるかについて調べる。さらに、受容体の細胞内ドメインについて、ユビキチン化される可能性のあるアミノ酸の変異体を作製し、エンドッサイトーシスに与える影響を調べる。
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Research Products
(17 results)