2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン硫酸修飾酵素群による大脳皮質形成の制御機構
Project/Area Number |
22570149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
前田 信明 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90202308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神村 圭亮 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (30529524)
倉岡 睦季 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70569144)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 硫酸転移酵素 / 大脳皮質 / 神経細胞移動 / 神経極性化 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸(CS)はN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)とグルクロン酸(GlcA)からなる二糖単位(GalNAcβ1-3GlcA)が多数重合した直鎖状の多糖であり、成長因子等、様々な蛋白質と結合することが知られている。特にCS多硫酸化構造に富んだ陰性荷電密度の高い領域は、多くの蛋白質との結合に寄与し、種々の情報伝達経路を調節していると想定されている。本研究では、CS多硫酸化構造の生合成に寄与するuronyl 2-sulfotransferase (UST)およびGalNAc4S 6-sulfotransferase (GalNAc4S 6ST)の大脳皮質形成における機能を解析した。子宮内胎仔電気穿孔法によって大脳皮質神経細胞におけるUSTおよびGalNAc4S 6STの発現をノックダウンすると、細胞移動が脳室下帯から中間帯で停止し、複数の軸索様突起を接線方向に伸展した異常な多極性神経細胞に分化することが明らかになった。本来、神経細胞は脳室下帯で多極性から双極性に極性変化し、放射状グリア線維を足場として脳表に向かって移動していくが、これらの酵素をノックダウンされた神経細胞は、中間帯を接線方向に走行する軸索束に親和性を示しており、放射状グリア線維との接着性の低下が予想された。一方、CS多硫酸化構造の細胞増殖および細胞分化における機能的重要性を解析するため、ノックダウンした胎仔大脳皮質を各種細胞増殖マーカーや分化マーカーで免疫染色したが、明確な異常は見出せなかった。このことは、神経細胞が発現する多硫酸化構造に富んだCSを有するプロテオグリカンが、神経極性化に選択的に寄与していることを示唆している。
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Research Products
(15 results)