2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内環境を模した共存分子密集状態・制約空間下におけるタンパク質の折畳みの研究
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22570152
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平井 光博 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00189820)
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Keywords | 放射光X線 / 階層構造 / タンパク質 / 折畳み / 制約空間 / 浸透圧 / 広角散乱 / 高分子 |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き,下記の研究を実施した。 組胞内は極めて高い溶質濃度環境下にある。そのため,タンパク質の機能発現の揚である細胞内環境をモデル化した高度分子密集状態および制約空間(リポソーム)内におけるタンパク質のフォールディング反応,凝集反応,構造安定性に関して,放射光X線広角散乱法などの構造物性手法を用いて研究を行い,分子密集環境下でのタンパク質の平衡状態の階層構造変化・凝集過程などの特性を明らかにすることは,大変重要となっている。 そこで,高濃度非荷電性共存溶質分子溶液中のタンパク質の平衡構造,フォールディング・アンフォールディング,アミロイド構造転移の研究を重点的に実施した。具体的には前年度の研究結果をさらに深化させるために,下記実験を行った。 [1]高濃度の非荷電性共存溶質分子のモル分率および体積分率をパラメータとしたタンパク質の平衡構造とその変化の解明:共存溶質分子の種類,構造分類で典型的なタンパク質の種類,それらの濃度,溶媒条件(pH,塩濃度)などをパラメーターとして広角X線散乱法を用いて,2次構造から3次・4次構造に至る平衡構造および水和状態の変化を解析。 [2]制約空間としての脂質リポソームへのタンパク質の内包,その構造特性の検討。 脂質リポソームおよびタンパク質の高濃度非荷電性共存溶質分子存在下での構造安定性に関して,下記の論文,研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制約空間のモデル化のために,非荷電性共存溶質分子としてPVP(ポリビニルピロリドン)を使用してきたが,高分子とタンパク質との特異的な相互作用の効果を排除するために,デキストラン,PEG(ポリエチレングリコール),グリセロールなど,異なる非荷電性共存溶質分子を用いて,実験を行い,PVPと同様の制約空間におけるタンパク質への効果が現れる事を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である24年度は,脂質リポソームを制約空間とするタンパク質の折畳みに関して集中的に研究を展開し,タンパク質の構造安定性に関する希薄溶液中との相違を明確にする。
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