2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境ホルモンBPAによる海馬の記憶学習の撹乱の解析
Project/Area Number |
22570155
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木本 哲也 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (60292843)
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Keywords | 環境ホルモン / BPA / 海馬 / 記憶学習 / かく乱 |
Research Abstract |
代表的な環境ホルモンであるビスフェノールA(BPA)がこの神経伝達を如何に変動させるかを解析した。 (A)周産期の母ラットに低容量BPA(30μg/kg)を曝露し、生まれた仔ラットが成獣(3ヶ月齢)になってから海馬神経シナプスに変化が現れているかどうかをスパイン(=後シナプス)の解析を行って調べた。海馬スライスの単一神経にLucifer-Yellowをインジェクションしてスパインを可視化し、共焦点顕微鏡で3次元像を解析した。その結果、オスではBPA曝露によって太いスパインの密度が減少することがわかった。雌では性周期別に調べたが、スパイン密度に対する影響は少なかった。これによってBPA曝露によりオスとメスの間のスパイン密度の差は縮小した。 (B)取り出した海馬スライスに10nM BPAを作用させて、2時間で起きる急性的なスパイン増加の分子機構を解析した。その結果、BPAは受容体(多分ERRγ)→MAPKの経路の活性化を介して海馬神経のスパインを急性的に増加させることがわかった。女性ホルモン受容体ERαの阻害剤ICIではBPAの作用は阻害されなかったが、ERRγの阻害剤OH-TamoxifenではBPAの作用は阻害されることを見出した。
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