2010 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネライメージングによるネクローシスのシグナル伝達機構の研究
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22570158
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
太田 善浩 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10223843)
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Keywords | 酸化ストレス / ネクローシス / ミトコンドリア / 膜透過性遷移 / シクロフィリンD |
Research Abstract |
本年度は、ミトコンドリアに局在するプロリン異性化酵素シクロフィリンD(以下CypDと略す)の活性に着目し、C6グリオーマ細胞に酸化ストレスを加えた際に生じる細胞死の特徴の解明に取り組んだ。 まず、C6グリオーマ細胞に野生型のCypDが過剰発現した細胞株(W)、酵素活性欠損型CypD(R97A)を過剰発現させてドミナントネガティブ効果によりCypDの活性が認められなくなった細胞株(R)、およびこれらのベクターコントロール(V)に酸化ストレスを加え、CypDの活性依存的に細胞死が生じる条件を見出した。次に、その条件において酸化ストレス誘導性の細胞死への関与が示唆されている酵素PARPの阻害剤(3AB)を添加し、CypDにより細胞死が誘導された株において細胞死が抑制されることを見出しな、この事実は、PARPが関与する経路とCypDが関与する経路が下流で統合されていることを示している。今までは、PARPが関与する経路とCypDが関与する経路は別々であり、一方を阻害しても、もう一方が原因の細胞死は抑制されないと考えられていたことから、本発見はネクローシスのシグナル伝達経路に新たな知見を加えたという価値がある。 また、本研究では、上述のCypDの活性依存的な細胞死の際には、形質膜が損傷を受ける直前までミトコンドリアの膜透過性が明確な上昇を示していないことを見出した。ミトコンドリアの膜透過性の上昇については、細胞死の原因とする考え方と、細胞死が後戻りできなくなるポイントとしての考え方の2通りがあったが、本研究結果は後者であることを明確に示す結果となった。
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Research Products
(4 results)