2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570160
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神谷 成敏 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (80420462)
|
Keywords | 構造・機能予測 |
Research Abstract |
1.血液凝固因子factor Xa(FXa)と阻害剤とのフレキシブルドッキング・マルチカノニカル分子動力学(McMD)シミュレーション:FXaと低い親和性をもつ阻害剤(リガンド2)に対してMcMDシミュレーションが完了し、常温における構造アンサンブルを得た。常温のアンサンブル中には、リガンド1について報告されている複合体のX線結晶構造に近い(リガンドのrmsd<5A)構造クラスタが含まれ、リガンド2はリガンド1と同様の複合体構造を形成することが予測された。リガンド1と2の結合自由エネルギー差を求めたところ、実験値を良く再現した。リガンド1に対して構造アンサンブルを主成分分析し、第一、第二主成分軸に射影したところ、自由エネルギー最小点に天然の複合体構造が分布した。従って、本法の自由エネルギーによる評価によって、正しく複合体構造が予測できることが示された。2.抗原-抗体間のフレキシブルドッキング・McMDシミュレーション:抗ダンシル抗体-ダンシルリシン抗原のMcMDシミュレーションが完了し、常温における構造アンサンブルを得た。抗原のrmsdが複合体の結晶構造に近い構造クラスタが得られ、これらの中には抗体のCDRH3ループ構造が天然構造に近い構造を含んでいた。抗体の位置と抗原のループがフレキシブルなFXaに比べてより予測の難易度が高い系において、本法は天然構造を予測できることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」に掲げたfactor Xa-リガンドの系と抗ダンシルリシン抗体-ダンシルリシン抗原の系において、マルチカノニカル分子動力学シミュレーションとその解析が完了しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
更に対象を広げてより難易度の高い系においてドッキングシミュレーションを実施し、本研究で開発した手法の有効性を評価する。具体的には、核内受容体PPARγとそのリガンドのドッキングシミュレーションを実施する。これまで実施してきたシミュレーションではリガンドは主にタンパク質の分子表面に結合していたが、PPARγのリガンド結合部位はタンパク質内部にあるためリガンドが結合するためには、PPARγの分子表面から結合部位に至る部分の構造変化が必要となる。そのため、本ドッキング手法の構造探索効率が試され、本法がより汎用性のある方法であるか否かが評価できる。
|
Research Products
(3 results)