2011 Fiscal Year Annual Research Report
細菌べん毛特異的ATPase複合体の離合集散の分子機構
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22570161
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 分子モーター / 遺伝学 / 細菌 / 蛋白質 |
Research Abstract |
本研究では、電子顕微鏡による画像解析法を活用し、遺伝学的機能解析および生化学的解析とうまく組み合わせることで、べん毛蛋白質輸送装置のダイナミックな離合集散の分子機構を解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。 ・FlhAの膜貫通ドメインの遺伝学的解析を行った結果、FlhAはFliH,FliI,FlhB,FliRと協同的に相互作用することで輸送機能を発現することが判明した。 ・FliHおよびFliIの助けにより、FliJが輸送ゲート構成蛋白質FlhAと相互作用すると、輸送ゲートが膜電位のみに依存した高効率な輸送エンジンに変化することなどが明らかとなった。 ・GSTアフィニティークロマトグラフィー法を利用したプルダウン法によりFliT-FliI相互作用を詳細に解析した結果、C末端側のα-ヘリックが欠失したFliT94はFliIのN末近傍領域(FliI_<EN>)と強く、ATPaseドメイン(FliI_<CAT>)と弱く結合すること、C末端側のα-ヘリックがFliI_<EN>との強い相互作用を抑制すること、輸送装置構成蛋白質であるFliHの添加によりFliT94がATPの有無に関係なくFliIから解離すること、FliDがFliT94-FliI_<CAT>相互作用を安定化することなどを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝学的および生化学的解析から、FliI ATPaseとその結合パートナーとの間のダイナミックな相互作用様式の全容が明らかになり始めた。その結果、4報の論文を発表することができた。その一方で、輸送ゲート付きべん毛基部体の単離精製については未だ成功にいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
輸送ゲート複合体を単離精製し、精製したべん毛基部体と混合することで、輸送ゲート付きべん毛基部体の再構成を目指す。
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