2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570166
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
油谷 克英 独立行政法人理化学研究所, タンパク質結晶構造解析研究グループ, 上級研究員 (90089889)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 蛋白質の安定性 / 超好熱菌由来蛋白質 / DSC / 蛋白質変性の熱力学 / イオン相互作用 / 熱変性の可逆性 / 蛋白質の立体構造 / CutA1 |
Research Abstract |
蛋白質の立体構造がどのような機構で維持されているかを理解することは、蛋白質科学の基本的な重要課題であるので、古くから多くの研究者によって研究されてきた。しかし、それらの蛋白質の変性温度が70‐80℃が上限であるため、それ以上の高い温度での安定性の機構は推定でしかなかった。その主な原因は、100℃近くに変性温度を持つ超好熱菌由来蛋白質の熱変性は不可逆で熱力学研究を妨げていたからである。昨年度までに、大腸菌由来CutA1のSH基を含まない変異型と、これを鋳型とした疎水性変異型S11A、E61V及びをS11V/E61が、高い熱変性温度(90-115℃)を維持して、熱変性の高い可逆性を示すことを見出し、それらの熱力学的パラメータを求めることに成功した。今年度は、静電的相互作用の熱力学的解析を主な目的とした。その結果、T17K/S48D変異型の変性温度(Td)は112.0℃で、個々の変異型T17KとS48DのTdは、それぞれ107.2、105.4℃であった。このことは、二重変異型は相互作用によって熱安定化していることを示した。二重変異型の変性のデルタHは鋳型のデルタCpに比例して高くなっていたので、この相互作用はエントロピー効果によることを明瞭に示唆した。しかし、A33K/S71E (Td=113.0℃)、W52K/S71E(Td=114.3℃)とA33E/S110K(Td=113.1℃)はT17K/S48Dの結果に比べ、複雑な熱力学的パラメータの変化を示した。そこで、最初からの計画でもあったが、更に系統的で網羅的な変異型に関しても熱力学的研究を進めその解析も進行中である。しかしながら、本研究で、イオン相互作用がエントロピー効果で安定化していることを実験的に示せたのは貴重な結果だと思える。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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