2011 Fiscal Year Annual Research Report
Twitchinによるアクトミオシン分子間相互作用制御に関する研究
Project/Area Number |
22570167
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
山田 章 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所・バイオICT研究室, 主任研究員 (80359075)
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Keywords | 生物物理 / 分子モーター / 蛋白質 |
Research Abstract |
破断力測定装置を使って「キャッチ状態」におけるアクチンフィラメントとミオシンフィラメントの結合の破断力を測定するために適した実験系を構築することを試みた。二枚貝平滑筋から精製したパラミオシンやキャッチンは太くて長いフィラメントを形成し、その表面にミオシンを結合させることができる(Yamada et al.,1997,FEBS Lett.,409,380-384)。このパラミオシンの太いフィラメントの表面にミオシンとtwitchinを結合させたものを光学顕微鏡用カバーガラス表面に吸着させ、ガラス微小針に保持したアクチンフィラメントを相互作用させられれば、ガラス表面の影響を受けずに「キャッチ状態」の結合の破断力計測が可能となると考えられるので、このような実験系を確立した。 また、この「キャッチ状態」の結合にはミオシン頭部は必要がないということを示唆する実験結果が海外の研究グループによって報告されており(Andruchov et al.,2005,J.Exp.Biol.,209,4319-4328;Butler et al.,2006,Biophys.J.,90,3193-3202など)、この検証にも本実験系が有効であると考えられた。キャッチンはミオシン重鎖の遺伝子から作られる、いわば頭部のないミオシンであることが分かっている(Yamada et al.,2000,J.Mol.Biol.,295,169-178)。そこで、ミオシンの代わりにキャッチンを用いた場合にもtwitchinのリン酸化状態依存的な結合が生じたため、結合そのものにはミオシン頭部は必須ではない事が確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的のひとつ、「キャッチ機構」の普遍性に関する研究については、二枚貝以外の軟体動物に広く存在することが確かめられた。また、その分子機構の解明に関しては、破断力測定のための実験系がほぼ確立され、実際に破断力を測定して、ミオシン頭部がその結合にどの程度関与しているかを検証するという最終段階に入ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
パラミオシンの太いフィラメントの表面にミオシンとtwitchinを結合させたものを光学顕微鏡用カバーガラス表面に吸着させて「キャッチ状態」を再構成させるという、ガラス表面の影響を受けずに「キャッチ状態」の結合の破断力計測が可能となると考えられる実験系を確立したので、これにより、「キャッチ状態」におけるフィラメント間結合の破断力測定を開始する。この「キャッチ状態」の結合におけるミオシン頭部の関与を検証するため、通常のミオシンの代わりに、いわば頭部のないミオシンであるキャッチンを使った場合との比較をする。
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