2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規コアクチベーターNF複合体の構成因子と制御機構の解析
Project/Area Number |
22570168
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久武 幸司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70271236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 綾 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50436276)
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Keywords | RNA結合タンパク質 / 転写 / コアクチベーター / クロマチン免疫沈降 / ガン遺伝子 |
Research Abstract |
FLAGタグを付けたNF45、NF90及びNF110にFLAGタグを付けたHeLa細胞株を作製し、大量に各抽出液を調製後、M2アガロースにて精製を行った。P11カラムにより分画したフラクションから精製を行うと、予備実験と同様の複数のタンパク質が結合していることが見出された。また、主にクロマチンからなる核ペレットにもNFタンパク質が存在することが明らかとなった。これらの因子はSDS-PAGEにて核抽出液中のものとは移動度が異なり、翻訳後修飾を受けていることが示唆された。こららの修飾にはリン酸化の他に、PRMTなどによるC末端側のアルギニンのメチル化の可能性が高い。 一方、NF45、NF90及びNF110のコアクチベーター活性をさらに検証するために、昨年度に引き続き、NFタンパク質のノックダウンを行い、c-fos遺伝子の血清による転写活性化への影響を検討した。NF45、NF90及びNF110の減少に伴い、血清によるc-fos遺伝子の転写誘導が低下することが分かり、c-fos遺伝子の転写誘導にNF複合体が関与していることが明らかとなった。同様の実験をGAL4-VPI6を用いた系で行った。GAL4-VP16の発現ベクターとGAL4の結合部位をもつレポーター遺伝子をC3H10T1/2に導入し、NFタンパク質による影響を調べた。NFタンパク質のノックダウンや過剰発現では、このレポーター遺伝子の転写活性はほとんど影響を受けなかった。NF複合体はc-fos遺伝子の誘導時に転写コアクチベーターとして作用するが、GAL4-VP16による転写活性化にはさせず、プロモーターによりその影響がことなる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、NF複合体のコアクチベーター活性の機能解析について、細胞を用いた系で実証することができた。また、複合体中にある他の因子についても、大量精製して、試験管内で機能活性を検証することが可能となった。また、プロモーターによりM複合体の転写への影響がことなる点も明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
血清以外の刺激、例え増殖因子の刺激や細胞ストレスによりNF複合体のc-fos遺伝子誘導への影響がことなるかどうかは、非常に興味深い点である。NF複合体は、他の因子と相互作用し、より大きな複合体を形成していることを考えると、その作用機構や作用する遺伝子にも多様性が存在することが予想される。これらの相互作用する因子とNF複合体の機能との関連、他の遺伝子の転写への影響を検討し、NF複合体の多様な機能を解明する予定である。
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