2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製・修復因子RPAによる熱ショック転写因子HSF1の転写制御機構
Project/Area Number |
22570171
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤本 充章 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80359900)
|
Keywords | HSF1 / RPA / RNA Polymerase II |
Research Abstract |
熱ショック応答は一群の熱ショック蛋白質(Hsp)が誘導され、その転写制御に関わっているのが熱ショック転写.因子HSF1である。ショウジョウバエHSF1による熱ショック遺伝子(Hsp)の転写制御機構は良く研究されており、遺伝子発現制御にクロマチン構造変化が関連していることが報告されている。ショウジョウバエHsp70遺伝子の転写開始点周辺はヌクレオソームを形成しておらず、RNAポリメラーゼIIが転写伸張を抑制した状態で存在し、この抑制は熱ショックによって解除されることが知られている。しかしながら、高等動物のHSF1の転写制御に関与する蛋白質群は未だ不明である。今回、我々はマス・スペクトル法によってHSF1結合蛋白質としてDNA修復に関与するRPA(RPA1,RPA2,RPA3)を同定し、その機能解析を行った。 我々は、最初に免疫沈降法で実際にRPA1,2,3がHSF1に相互作用することを確認した。さらに、HSFIがRPAIに直接相互作用することをGST-pull down法で明らかにし、このHSF1-RAP1結合は熱ショックの有無に関わらず相互作用することが分かった。次に、HSF1の転写活性化能に対するRPAの影響を調べるために、shRNAを用いてRPAのノックダウンを行った。RPA1とRPA2のノックダウン効果によって、Hsp70遺伝子の発現低下が熱ショックの初期でのみ起こることが分かった。さらにクロマチン免疫沈降法によって、非ストレス状態でHSF1とATP依存的クロマチンリモデリング因子Brg1がRPA1のノックダウンによって、Hsp70のプロモーター領域にリクルートされにくいことが分かった。このATP依存的クロマチンリモデリング因子はヌクレオソーム除去過程に必須であることが知られている。このことから、非ストレス状態でRPA-HSF1複合体はHsp70遺伝子の転写開始点のヌクレオソーム形成の除去に関与し、熱ショック後の転写誘導を容易にさせていることが示唆される。
|