2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン構造形成と共役するヒストンバランス制御機構
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22570174
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田上 英明 名古屋市立大学, 大学院・システム自然科学研究科, 准教授 (70273216)
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Keywords | 可溶性ヒストン複合体 / クロマチンダイナミクス / HiTAP1 / ヒストンH3/H4 |
Research Abstract |
クロマチン構造形成はゲノム統合性と関連して厳密に制御される。本研究では、ヒストンバランス制御システムの分子基盤を解明するために、酵母をモデル系としたクロマチン形成の反応中間体である可溶性ヒストン複合体を様々な条件(各種阻害剤添加時や定常期、嫌気的条件、ヒストン大量発現などによるクロマチン制御バランス変動等)で精製し、それらの機能解析を行っている。平成23年度は、分裂酵母で可溶性ヒストンH3結合因子として同定したHiTAP1(Mlo2)の分子機能解析を中心に解析を進めた。 HiTAP1はそのC末端領域に高度に保存された新規ヒストンH3結合モチーフを持ち、in vitroでH3/H4を解離させる活性を持つ。H3との結合部位、およびH3/H4解離活性部位の同定のため、点突然変異体を多数構築しGST融合タンパク質として精製した。これらの変異体を用いてH3/H4とのGSTプルダウン解析を進めているところである。また、ヒストンバランス制御への関与について、HiTAP1破壊株がH3大量発現に感受性となったことより、HiTAP1のユビキチンリガーゼ活性について解析を進めた。HiTAP1はN末端にユビキチンリガーゼE3様ドメインを持つため、様々なE2と組み合わせてin vitroにおいてE3活性の検出を試みている。現在までに明確な結論を得るに至っていないが、この領域の変異体を構築してH3大量発現に対する影響を解析する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可溶性ヒストンH3/H4結合因子として見いだしたHiTAP1(Mlo2)の分子機能解析を進めており、新規にヒストンバランス制御システムの分子基盤に迫れるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的達成のために、HiTAP1によるH3/H4解離の分子機構とその生理的意義について、さらに研究を推進する。また、HiTAP1以外にも単独のヒストンに優先的に結合する新規因子の探索を進めることや、ヒストンバランス変動時における複合体解析を進めることで、ヒストンバランス制御ネットワークを明らかにしたいと考えている。
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