2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能からのアプローチによるヒストンメチル化制御機構の解析
Project/Area Number |
22570176
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
林 亜紀 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, 研究員 (80399534)
|
Keywords | ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
生物の発生過程と個体維持は多様な遺伝子の発現制御によって担われている。特にエピジェネティックな制御機構はDNAメチル化修飾やヒストン修飾によってクロマチンの構造変化が起こり、生体の特異的組織や細胞ごとに異なる多様な発現制御が行われる重要な機構である。分裂酵母を用いたエピジェネティックな遺伝子発現制御機構の解明を目的として、遺伝学的スクリーニングによるヘテロクロマチン形成機構に関わる因子の同定をおこなった。分裂酵母のヘテロクロマチン領域はセントロメア、テロメア、接合型決定領域の3カ所に存在し、それらの領域では転写が抑制される。スクリーニングの系として、2つのセントロメア領域と接合型決定領域一カ所にそれぞれ異なるマーカー遺伝子を挿入した細胞を作成し、この細胞にDNAアルキル化剤によってゲノムに変異を導入してマーカー遺伝子が発現してヘテロクロマチン領域のサイレンシングが失われる変異体を単離した。このスクリーニングによって多数のサイレンシング異常を示す変異体を単離、同定した。そのうちの二つは機能未知の因子であり、それらの変異体はセントロメア領域のみのサイレンシングに関わることから、RNAi機構に関わっていることが予測された。その一因子であるErslは解析からRNAi機構とヘテロクロマチン形成機構に関わる因子であることが考えられた。この結果はRNAi機構とヘテロクロマチン形成機構を明らかにする上で重要な発見であると考えられる。
|