2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能からのアプローチによるヒストンメチル化制御機構の解析
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22570176
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
林 亜紀 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, 研究員 (80399534)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ヘテロクロマチン / RNAi機構 / ヒストン修飾 / HP1 |
Research Abstract |
1.研究開始当初の背景: エピジェネティクスはDNAメチル化やヒストン修飾による遺伝子発現制御を担い、生物において発生と個体維持のために必須な機構である。高等真核生物では染色体が高度に凝縮したヘテロクロマチン領域において、ヒストンH3K9特異的なメチル化修飾による発現抑制を受ける。分裂酵母では特にセントロメア領域でRNAi機構を介したヘテロクロマチン形成が起きることが報告されており、近年では網羅的な生化学的手法によってヘテロクロマチン形成因子の同定と機能の解析が精力的に進められている。 2.研究の目的: ヘテロクロマチン形成は細胞周期における複数の制御機構と関わるが、その詳細なメカニズムは未だ不明である。そこで分裂酵母を用いたエピジェネティクスの分子機構の解明を目的とし、新規のヘテロクロマチン形成因子の同定をおこなった。 3.研究の方法:生化学的手法では検出しにくい一過的または弱い結合を示す因子を同定するために、二つの遺伝学的スクリーニング系を作成して新規ヘテロクロマチン形成因子の同定を試みた。 4.研究の成果:第二のスクリーニング系から二つの機能未知因子Ers1とDsh1を同定した。Ers1因子についてさらに詳細な解析を進め、Ers1変異体のサプレッサーとしてヒストンメチル基転移酵素Clr4とRNAi機構に働くRNAヘリケースHrr1を同定した。遺伝学的解析と生化学的解析からErs1がHrr1と結合し、またH3K9メチル基に結合するHP1因子とも結合することを明らかにした。またHP1欠失株にErs1、Hrr1を強制的にヘテロクロマチンに結合させ、ヘテロクロマチン形成欠損を部分的に相補できることを示した。これらの結果からErs1はHP1との結合を介してRNAi機構をヘテロクロマチンにリクルートし、HP1がRNAi機構の土台として機能する役割を果たすことを初めて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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