2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷回復制御機構の解明:細胞は如何にしてDNA損傷から回復するのか?
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22570180
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小西 昭充 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (50381877)
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Keywords | DNA損傷チェックポイント / 細胞周期 / 分子生物学 / ケミカルスクリーニング / 癌抑制 |
Research Abstract |
細胞は染色体DNAが損傷を受けた場合、チェックポイントを活性化して細胞周期を停止すると同時にDNA修復を行うが、修復が完了すれば再び細胞周期を再開させる。この細胞周期を再開させる仕組み(細胞周期回復機構)についてはほとんどわかっていない。本研究は、この細胞周期回復機構の分子メカニズムの解明を目指す。このために、本研究課題では、1)細胞周期回復機構に関与する分子を同定し、2)その生理的役割の解析および3)回復機構の制御による抗腫瘍効果の検討を行っている。 前年度に行った細胞周期機構に関与する分子の同定のために12,000種以上の低分子化合物についてのケミカルスクリーニングから同定したDNA損傷チェックポイントの回復経路を阻害する候補化合物33種類について、本年度は解析を進めた。 癌細胞株に対する細胞増殖抑制能を調べた結果、これらの化合物の多くは、著明な増殖抑制効果を有していた。抑制効果の高い少数の化合物について解析を進めた結果、この腫瘍細胞増殖抑制はDNA複製時のDNA損傷チェックポイントが亢進するためであることが分かった。 また、前年度から行っているDNA損傷回復経路の制御候補因子についてさらに解析を進めた。阻害剤、RNAiによりこの因子を抑制するとDNA損傷回復が遅延した。この遅延効果はDNA修復反応には非依存的であった。この結果からこの酵素がDNA損傷チェックポイントの非活性化による細胞周期回復機構を制御していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA損傷回復を抑制する低分子化合物のスクリーニングを終了し、標的候補分子の同定とその機能解析の大部分を終了した。また、候補化合物によるinvitro系での腫瘍抑制効果判定を終了した。当初の研究目的の約80%を達成しており、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を遂行する上での大きな問題点はないため、当初の研究計画通り本研究の実施期間中に全ての研究目的を達成することが可能であると考えている。次年度ではin vitro系で評価を終えた低分子化合物について引き続きマウス個体を用いたin vivo抗腫瘍効果についての評価を行い、分子創薬へ繋がる基盤研究を行う予定である。また、本研究により得られた知見を学術専門誌、学術集会で発表を行う予定である。
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Research Products
(4 results)