2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞移動に影響を与える微小管伸長端結合蛋白質の微小管安定化機構の解析
Project/Area Number |
22570190
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
林 郁子 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (80464527)
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Keywords | x線結晶構造解析 / 電子顕微鏡解析 / 細胞骨格 / 細胞遊走 |
Research Abstract |
細胞骨格のひとつである微小管は、細胞移動の方向性や細胞移動に必須な接着斑のターンオーバーに重要な役割を果たす。これにはゴルジ網を経由した微小管が接着斑を不安定化させターンオーバーを促すことが示唆されているが、実際の機構はよくわかっていない。申請者らはゴルジ体から派生する微小管の核形成に関与する微小管結合蛋白質CLASP2についてこれまで結晶構造解析を行い、微小管結合性のTOGドメインが連結して存在していることを明らかにしてきた。当該年度においてはCLASP2の微小管安定化能について、欠損変異体を用いたドメイン解析、光散乱法による微小管形成の定量化を行った。またCLASP2の結合相手であるEB1との複合体の解析を行った。CLASP2とEB1は機能単位において微小管結合ドメインをそれぞれ2つづつ有する。またCLASP2はEB1結合モチーフを2つ有することから、複合体の形成が微小管のダイナミクスに大きく影響することが示唆されるがその定量的な解析はなされていない。申請者らは熱量測定法を用いて結合定数と結合量比を求めるとともに、チューブリンのGTP加水分解能を測定することでその重合活性を定量的に解析した。CLASP2結合蛋白質GCC185のCLASP2結合領域は同定済みであり、この領域が細胞皮質に局在化するCLASP2結合蛋白質LL5betaと共通の配列をもつことも実験的に確認している。現在GGC185の欠損変異体を用いてGCC185とCLASP2の相互作用を制御しうる分子の探索をプロテオーム解析によって行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GCC185とCLASP2結合領域の組み換えタンパク質の性質が悪く、立体構造解析のための試料調製が難航している。しかし生化学的解析によるCLASP2分子のキャラクタリゼーションは順調に進んでおり、現在CLASP2とEB1の微小管安定化能について定量的に解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでCLASP2の微小管結合領域の立体構造を決定した。今後はCLASP2が細胞内の特異的領域で機能するための蛋白質相互作用領域の立体構造解析を行うとともに、プロテオーム解析による相互作用分子の探索と立体構造決定、細胞内での分子の作用機構(Kaverinaとの共同研究)を行う。
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