2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物胚の神経プラコードに着目した神経ー表皮境界規定機構の解析
Project/Area Number |
22570200
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道上 達男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10282724)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 裕樹 静岡大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (70402229)
|
Keywords | 神経綉導 / アフリカツメガエル / パターニング / プラコード |
Research Abstract |
(1)PRDM12 PRDM12の解析に関しては、後期のプラコード派生神経の形成に関する解析を行った。具体的には、EB3と呼ばれる別のプラコードマーカーを用い、3日胚における脳神経の伸長に異常が生じることを明らかとした。 (2)新規プラコード遺伝子の探索を目的として、本年度はWnt阻害因子dkk,BMP阻害因子tBRを注入した胚由来のアニマルキャップを用い、six1誘導が最も効率的に引き起こされる条件を詳細に検討した。その結果、tBR700pg,dkk50pgの注入時に、最もsix1の発現量が多いことが確認できた。また、当該条件において、mRNAの非注入時とsixlの発現量の差が最も大きい発生ステージに関しても詳しく解析を行った結果、後期原腸胚期が最も二者の差が大きいことを見出した。更に、Nogginタンパク質を用いた解析においても、LiClなどの処理などを行うことで、よりsix1の発現量を増加させる条件を見出した。 (3)昨年度に引き続き、Xnr3の発現による神経・表皮境界への影響-に関して、解析を行った。その結果興味深いことに、Xnr3の微量注入によって、神経・表皮境界のみで特異的に神経領域形成時の細胞運動の阻害が引き起こされることを見出した。更に、細胞の形態そのものにも、Xnr3注入によって大きく影響を受けることが分かった。これらの結果は、プラコード形成を伴う神経-表皮の境界規定に、細胞形態の変化を伴う細胞運動が重要な役割を果たすことを示しており,重要な知見である。(3)の内容に関しては、現在論文投稿中である。 (4)更に、神経パターンの一般性を解析する目的で、レチノイン酸シグナルに関わる因子が神経領域の形成にどのような役割を果たすかについて解析を行った。その結果、レチノイン酸シグナルを阻害する転写因子COUP-TFが、実際に神経のパターンに影響を与え、かつその作用はレチノイン酸代謝酵素Cyp26Cと協調的であることを見出した。本研究内容はInt.J.Dev.Biolに掲載予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に新規プラコード因子の探索については、予定よりも進捗が遅れている。その一方で、Xnr3による神経-表皮境界の規定機構については新しい知見を得て論文投稿にこぎつけた点で自己評価できる。また、レチノイン酸シグナル関連因子の解析によって、プラコードには限らないものの、神経パターン一般に関与するという新規の知見を得て論文採択された点も評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
特に、プラコード形成に関わる新規因子については、可及的速やかにマイクロアレイ解析を行い、最終年度に成果を出したいと考えている。
|
Research Products
(4 results)