2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン分化におけるシグナル統合因子としてのSbno1
Project/Area Number |
22570202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
勝山 裕 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10359862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20101892)
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Keywords | ニューロン分化 / シグナル伝達 / 脳形態形成 / Sbno1 |
Research Abstract |
これまでに魚類胚やマウス胚大脳皮質予定細胞の一次培養を用いた実験からSbno1がニューロン分化に必須な分子である可能性が示唆された。そこで次に、Sbno1のvivoでの脳発生における機能を明らかにするために、Sbno1タンパクを特異的に検出する抗体によって胚期脳におけるSbno1タンパクの発現を調べた。Sbno1は受精後11日、12日の様な極めて初期の大脳皮質予定域神経上皮では脳室に面した神経幹細胞と思われる細胞の細胞質にタンパクが検出された。また軟膜側のTuj1陽性細胞(分化初期のニューロン)の層においても細胞の核にSbno1タンパクは検出された。発生が進むとSbno1タンパクの核への局在は皮質板細胞において低レベルで均一的にみられるようになった。 Sbno1遺伝座にLoxP配列を導入したマウスとCreリコンビナーゼを大脳皮質予定域に特異的に発現するドライバーマウス(Emx1-Cre)をかけ合わせることでSbno1の胚前脳背側特異的な遺伝子破壊を行うと、。胎児期に神経幹細胞の形態に異常が観察され、幹細胞の増殖が低下していた。またニューロンに分化し始めた細胞が細胞死(アポトシス)を起こすことがTUNEL法、活性化Caspase3の検出によって明らかになった。更にこの遺伝子欠損の効果が直接的なものであるか間接的なものであるかを調べるためにSbno1機能と特異的に阻害するstealth RNAをエレクトロポレーション法によって導入したところ、Sbno1 cKOで見られたと同様な分化途中のニューロンの細胞死が観察された。 以上の観察からSbno1が神経幹細胞と分化初期ニューロンとでの異なった細胞内局在をしが、それぞれの細胞分化段階で同じタンパクが異なった機能を持つ事に関係があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災によるサンプルの消失、実験機器の利用不能によって、同じ実験を繰り返さなくてはいけなかった。 大学の異動時に変異マウスを実験に用いることが可能な数に繁殖させるのに予想以上に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Sbno1ノックアウトマウスの大脳皮質発生のより初期における異常を免疫組織学的に調べる。 (2)エレクトロポレーション法によるCreリコンビナーゼ発現によって、ニューロン分化過程の段階特異的なSbno1ノックアウトを行い、分化段階によるSbno1の異なった働きについての詳細を明らかにする。 (3)Sbno1タンパクの生化学的性質を明らかにするための細胞培養での過剰発現系を確立する。 (4)Sbno1タンパクの発現と細胞内での挙動を明らかにするため免疫組織学的解析を脳発生過程を通じて行う。
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Research Products
(7 results)