2010 Fiscal Year Annual Research Report
ボルボックス胚の形態形成運動における微小管の挙動の解析
Project/Area Number |
22570203
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
西井 一郎 奈良女子大学, 理学部, 特任助教 (80392059)
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Keywords | 原腸形成 / 体節形成 / 胚葉形成 / 形態形成運動 / 藻類 |
Research Abstract |
単細胞生物から多細胞生物への進化(多細胞化)は動物・植物などほとんどの真核生物で起こったが、その初期過程は明らかになっていない。ボルボックスおよび近縁種は多細胞化が最近になって起こったグループであり、分化、形態形成、卵生殖に関して段階的な進化が見られる。なかでも、多細胞で構成されたシートが折り畳まれていく過程は、多細胞生物の形作りの最も重要な基礎過程の一つであり、私は、ボルボックスの胚発生で起こる形態形成運動をモデルとし、細胞の変形と移動がこの形態形成運動の原動力であることを示してきた。これまでに解析した変異遺伝子の中で注目すべきは、細胞骨格の微小管をレールとするモーター分子キネシンであった。本研究では、ボルボックスの微小管を可視化し、その局在と挙動を野生型と変異体で解析することを目的とした。 本年度は、GFPなどの蛍光タンパク質によって微小管がライブ観察可能な株の作成を検討した。ボルボックスのゲノムはGC含量が高く、他のモデル生物とはコドンの使用頻度が大きく異なっているため、他の種で用いられている蛍光タンパク質の遺伝子を発現させることは難しく、ボルボックスのコドン使用頻度に最適化した遺伝子に改変した。ボルボックスにおいてVenusが観察可能な株をすでに得ており、蛍光タンパク質が十分量発現した場合は、蛍光観察に関して問題がなかった。蛍光タンパク質遺伝子とtubulin遺伝子との融合遺伝子を作成し、発現を調べた。その際、αtubulin、βtubulinのいずれにするか、蛍光タンパク質を付加する位置、蛍光タンパク質との間に挟むスペーサーなど、考慮すべき点は多い。両tubulinに関して実験を行ったが可視化可能な株は得られておらず、前述のスペーサーに関して改善を加えた実験を行っている。また、本年度はボルボックスのゲノム解析に関する論文を2報、レビューを1報、発表した。
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[Journal Article] Evolution of an expanded sex-determining locus in Volvox.2010
Author(s)
Ferris P, Olson BJ, De Hoff PL, Douglass S, Casero D, Prochnik S, Geng S, Rai R, Grimwood J, Schmutz J, Nishii I, Hamaji T, Nozaki H, Pellegrini M, Umen JG.
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Journal Title
Science
Volume: 328(5976)
Pages: 351-354
Peer Reviewed
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[Journal Article] Genomic analysis of organismal complexity in the multicellular green alga Volvox carteri.2010
Author(s)
Prochnik SE, Umen J Nedelcu AM, Hallmann A, Miller SM, Nishii I, Ferris P, Kuo A, Mitros T, Fritz-Laylin LK, Hellsten U, Chapman J, Simakov O, Rensing SA, Terry A, Pangilinan J, Kapitonov V, Jurka J, Salamov A, Shapiro H, Schmutz J, Grimwood J, Lindquist E, Lucas S, Grigoriev IV, Schmitt R, Kirk D, Rokhsar DS.
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Journal Title
Science
Volume: 329(5988)
Pages: 223-226
Peer Reviewed
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