2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNA結合タンパク質Abf2の多様性と進化
Project/Area Number |
22570213
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宮川 勇 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50136165)
|
Keywords | 酵母 / ミトコンドリア / 核様体 / DNA結合タンパク質 / Abf2p |
Research Abstract |
酵母ミトコンドリアDNA結合タンパク質Abf2pの欠損がミトコンドリア核様体(mt核様体)およびミトコンドリアの形態、mt核様体のタンパク質組成におよぼす影響を明らかにした。この研究では、Abf2pが欠損しても娘細胞(芽)へのミトコンドリアの伝達はほぼ正常であるが、娘細胞へのmt核様体の伝達量が減少することを示し、ミトコンドリア・ゲノム伝達へのAbf2pの関与を指摘した。また、栄養成長定常期から単離したmt核様体を比較した限りでは、Abf2pの欠損は、mt核様体タンパク質組成全体に大きな変化をもたらさないことを示した(Miyakawa et al. 2010)分子。系統樹において、パン酵母Saccharomyces cerevisiaeから遠く離れた酵母のミトコンドリアに存在するAbf2pホモログの多様性について研究を行った。パン酵母やヒトのAbf2pは、DNA結合ドメインであるHMGドメインを2つ持つのに対して、炭化水素資化酵母Yarrowia lipolyticaのAbf2pホモログはC末端側にのみひとつのHMGドメインを保持することを私たちは示している。そこで、Y.lipolyticaのAbf2pホモログのN末端側とC末端側をそれぞれ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として大腸菌で発現誘導させ、グルタチオンカラムクロマトグラフィーにより粗精製した。これらのタンパク質を用いてゲルシフトアッセイ、DNAセルロースクロマトグラフィーを行い、DNA結合能を確認した。平成23年度はさらにこの研究を進め、完全精製したタンパク質試料を用いてAbf2pホモログのN末端側とC末端側の機能解析を行う予定である。
|