2011 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫が水平転移により共生細菌から獲得した遺伝子群の進化と機能
Project/Area Number |
22570216
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
二河 成男 放送大学, 教養学部, 准教授 (70364916)
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Keywords | 遺伝子水平転移 / ボルバキア |
Research Abstract |
転移後に機能を失った水平転移遺伝子の分子進化においては、マツノマダラカミキリのゲノムに水平転移したボルバキア由来の遺伝子について同定を進めた。同一の種内で、転移遺伝子の有無のパターンを、7地域個体群由来の27個体について、既知の2個体の結果と比較した。これら2個体では、214の共生細菌ボルバキアゲノムの遺伝子について作成した特異的なプライマー対を用いて、PCR法による検出を行った結果、34で増幅が見られている。その内、6つについては、どちらかの個体でしか検出されていない。上記27個体に対しては、その34の遺伝子についてPCR法による検出を試みた。34の内26については、何れの個体からも増幅が見られ、転移遺伝子群が本州、南西諸島の個体群に固定していることが分かった。一方、残りの8の転移遺伝子については、地域個体群間あるいは地域個体群内で検出の有無の差が生じた。これらについては、新たに転移遺伝子に対する特異的なプライマーも作成したが、やはり、検出の有無が生じたため、PCRエラーなどではなく、実際に違いが有ることが分かった。また、マツノマダラカミキリの近縁種2種についても、転移遺伝子が存在するかを上記34のプライマー対を用いて、解析を進めた。その内1種については有望な結果が得られており、214のプライマー対での解析を進めた。転移後に機能を維持しているアブラムシゲノム中の、細菌由来転移遺伝子の分子進化においては、アブラムシのRNA抽出を行い、転移遺伝子のcDNAの塩基配列決定を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検出できている遺伝子については、複数の個体での遺伝子の有無の差異、あるいはその塩基配列の情報は増えているので、興味深い結果が得られると期待される。一方で、転移遺伝子が保持されているかどうか、判明していなかった部分については、期待とは異なる結果となっている場合も有り、進捗はしているが、期待した成果を得られていない部分も有る。
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Strategy for Future Research Activity |
マツノマダラカミキリなど、比較的最近転移した遺伝子群の解析に興味深い研究成果が期待されるので重点的に研究を進めていく。アブラムシの転移遺伝子の配列決定は発現している遺伝子で有るが、転移後長い時間がたっているので、PCRの特異的プライマーのデザインが困難であるが、改良を加えて進めていく。
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Research Products
(1 results)