2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 秀樹 京都大学, 野生動物研究センター, 准教授 (80314243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下岡 ゆき子 帝京科学大学, 生命環境学部, 講師 (70402782)
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Keywords | 凝集性 / 社会構造 / GPS / 季節性 / ニホンザル / クモザル / 種間比較 / 個体間距離 |
Research Abstract |
・ 凝集性の定量化とその環境要因の解明 群れの空間的な凝集性は、群れ生活をする種の社会構造を特徴付ける重要な要素である。本研究では、ニホンザルの野生集団における個体間距離を測定し、社会的な群れの空間的な凝集性を定量化した。複数観察者による同時個体追跡を行い、GPSを用いて2個体間の距離を3つの季節で測定した。こ体感距離は、季節によって異なった。秋に短く(平均±SD : 25.6±20.1m)、冬に中間的(平均±SD : 46.3±35.7m)、夏に長かった(平均±SD : 62.3±47.1m)。夏の測定値は非常に長くなることがあり(最大値:1225m)、サブグルーピングが起こっていることを示唆している。個体間距離は各季節内でも活動によって変化した。グルーミングと休息中は短く、採食中は中間的、移動中は長くなった。群れの凝集性は食物の分布によっても影響を受けていた。集中分布する食物の採食中には、追跡個体の20m以内にいる群れのメンバーの数が多く、分散している食物の採食中にはメンバーの数が少なかった。集中分布する食物の採食は、秋に最も多かった。ニホンザルの各個体は、一日の中でも、グルーミングや休息する場所や採食場所で集合し、移動するときに分散するようだ。これらの結果は、ニホンザルの群れの凝集性は、一日の中といった短期間でも、また季節的にも、かなり変動することがしめされた。これはニホンザルが食物条件や採食戦術によって、群れの凝集性を柔軟に調整していることを示している。 ・ ニホンザルとクモザルの種間比較 ニホンザルの行動分析から、凝集性の調節に重要と考えられる行動変数を抽出し、離合集散型のクモザルとの比較をおこなった。ニホンザル、クモザル共に、群れがまとまっている時と分かれている時のそれぞれを比較し、群れの凝集性に関連した音声の出し方を比較した。
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Research Products
(6 results)