2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22570221
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60277473)
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Keywords | 非齲蝕性硬組織欠損 / 楔状欠損 / NCCL / 現代人 / 犬歯 / 第一小臼歯 / 唇側 / 出現頻度 |
Research Abstract |
NCCLには、様々な形態があることが知られているが、形態の分類基準が研究者によってまちまちであるため、NCCLの出現頻度が正確に求められているとは言えず、歯種ごとの出現頻度も求められていない。また、NCCLは、摩耗、酸蝕、アブフラクションなどが重なり合って形成されると考えられているが、どの因子がどのくらいの影響を持つかはまだわかっていない。さらに、NCCLの形態によっても成因が異なる可能性もある。 そこで、NCCLの分類基準を新たに設定し、歯種ごとにNCCLの出現頻度を求めた。資料は、現代人の抜去歯(年齢性別不明)で、上顎の中切歯から第2大臼歯まで合計1362本、下顎の中切歯から第2大臼歯まで合計700本、合計2062本である。観察は、蛍光灯のもと、10倍ルーペを用いて、肉眼で行った。NCCLの形態の分類は、表面形態と断面形態の2面で行った。表面形態は6種類(上弦、下弦、横楕円、縦楕円、帯、不定形)、断面形態も6種類(円弧、撰上、楔中、楔下、平滑面、不定形)に分類した。 その結果、歯種別に見ると、上顎でも下顎でもNCCLは犬歯で最も多く、次いで第一小臼歯で多く(いずれも約50%の個体で)見られた。部位別に見ると、ほとんどの歯で唇側での出現が最も多かった。形態(表面形態と断面形態)も考慮すると、中切歯、側切歯、犬歯では、唇側に上弦円弧、舌側に縦楕円円弧が多く現れ、小臼歯では、頬側に上弦円弧と上弦撰が多く現れ、大臼歯では、近遠心側に横楕円円弧が多く現れた。このようなNCCL、の現れ方から、上弦円弧にはラッシングによる摩耗、縦楕円円弧には酸蝕、上弦楔にはアブフラクション、横楕円円弧には摩耗が関与している可能性が考えられる。 これらの研究と同時に、年齢と性別のわかる現代人抜去歯においてもNCCLの肉眼観察を行っており、さらにNCCLのSEMによる観察も行っている。
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Research Products
(3 results)