2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570221
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 専任講師 (60277473)
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Keywords | NCCL / 現代人 / 表面形態 / 断面形態 / 犬歯 / 小臼歯 / 唇側 / 舌側 |
Research Abstract |
現代人におけるNCCLの出現状況を調べた。資料は、現代人の抜去歯(性別年齢は不明)である。資料数を昨年度よりも大幅に増やし、上下顎左右側の中切歯から第2大臼歯まで、合計6000本とした。蛍光灯のもと、10倍ルーペを用いて、肉眼で歯頸部付近を観察し、NCCLの出現部位と形態を調べた。 【形態の分類方法】 観察の結果、NCCLの形態は、表面形態および断面形態の2つによって分類できることがわかった。表面形態としては、LC(Lower Crescent)、LS(Lower Semicircle)、UC(Upper Crescet)、US(Upper Semicircle)、B(Belt)、HE(Horizontal Ellipse)、VE(Vertical Ellipse)、PC(Precise Circle)、IR(Irregular)の9種類が分類でき、断面形態としては、r(round)、uw(upper wedge)、mw(middle wedge)、lw(lower wedge)、s(smooth)、ir(irregular)の6種類が分類できた。 【出現頻度】 上下左右いずれでも、犬歯と第一小臼歯での出現頻度が最も高かった。 【出現部位】 ほとんどの歯種で、唇側での出現率が最も高かった。 上下顎前歯部、上顎大臼歯部では、舌側での出現率も比較的高かった。 【形態の出現頻度】 ほとんどの歯種で、LCとrの組み合わせが多かった。下顎前歯部では、VEとrの組み合わせも比較的多かった。断面が喫形(uw、mw、lw)のものは、上顎小臼歯部に多かった。歯種によって、多く現れる形態の組み合わせが異なる傾向が見られたことから、NCCLの形態によって、その成因が異なる可能性が導かれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形質人類学的分析が平成23年度までに完了したので、この結果をもとに、組織学的分析、CTによる分析、生体力学的分析を進めることが可能となった。この進捗状況は計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに得られた形質人類学的分析結果をもとに、組織学的分析、CTによる分析、生体力学的分析を進める。同時に、性別年齢のわかる抜去歯を用いて、形質人類学的分析を行うことによって、NCCLの出現状況の性差や年齢変化を明らかにする。これらの結果を総合して、NCCLの成因を解明する。
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