2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳酸素動態と認知課題成績からみた高次脳機能の修飾刺激応答の個体差とその影響要因
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22570225
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
新岡 正 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (20123953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 豪一 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (10167497)
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Keywords | 生理的多型 / 生理人類学 / 高精度計測システム / 高次脳機能評価 / 生物・生体工学 / 脳酸素動態 / 心理・性格特性 / 心臓血管系反応 |
Research Abstract |
本研究では、環境中の刺激因子として騒音を取り上げ、騒音が存在する場合の高次脳機能に及ぼす影響を、騒音の強さレベルに依存してどのように変化するのかに注目し、新規に開発した認知課題成績高感度・高精度計測システム(特開2006-218065)と非侵襲・非拘束の近赤外分光法方式脳酸素動態計測システムを用い、特に心理・性格特性の関わりに注目して、個体レベルで明らかにしようとするものであり、認知課題成績、脳酸素動態、および心臓血管系反応を、相互に関連づけることによって個体差の原因解明と、高次脳機能に及ぼす影響の全体像を明らかにすることを目的としている。本年度においては、まずバックグラウンドとして、特に騒音が負荷されていない条件に重点をおいて、18名の健常若年者を対象として、認知課題成績2回連続遂行値の変化量を求め、これを脳酸素動態(酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度総ヘモグロビン濃度)と心臓血管系反応(血圧および心拍数)の変化量との関係性を明らかにした。さらに、個体差を生じさせる背景因子としての心理・性格特性を、モーズレイ性格検査等の4検査指標を用いて評価した。心理・性格特性は若年者として概ね偏りのない特性値を示した。また、食習慣を含む生活習慣についても、極端な偏りを持つ対象者はいなかった。結果として、反応時間約-0.09秒、正答率約+0.01、脱酸素化ヘモグロビン濃度(相対値)約+0.01、心拍数約-2(拍/分)の各変化量を得た。また、各変化量間の相関係数では、収縮期血圧:誤答数、外向性-内向性尺度:解答数において、それぞれ約-0.65、0.49などの有意な値の他、プライミング効果(前試行の影響)項目との間に多くの相関関係を認めた。一方で、脳酸素動態と心臓血管系反応の間に相関関係が認められなかった。以上、本年度の当初計画に沿った成果を得た。
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Research Products
(4 results)