2011 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動反応時間および視標追従能の頚部前屈保持に伴う変化の発達様相
Project/Area Number |
22570227
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
国田 賢治 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (20316003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 勝夫 金沢大学, 医薬保健研究域・医学系, 教授 (60190089)
清田 岳臣 札幌国際大学, 人文学部, 講師 (40434956)
阿南 浩司 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 講師 (00553851)
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Keywords | 覚醒 / 発達 / 姿勢 / サッケード / 滑動性眼球運動 |
Research Abstract |
高い水準の運動機能や認知機能を発揮するには、それら機能の基盤となる中枢神経系の活性化の状態を必要に応じて調節することが重要となる。これまで我々は、頚部前屈姿勢を保持すると、衝動性眼球運動の反応時間(眼球運動反応時間)が短縮するとの知見を得てきている。刻々と変化する外界の状況下で視覚情報を迅速に獲得し、その後継続して注視する場合に、上述した視標への衝動性眼球運動がはじめに行われ、その後、その視対象を正確に追従することがなされる。頚部前屈保持に伴い視標追従能が向上すること、およびその向上の発達の様相は、衝動性眼球運動のそれとは違いがみられることが予想された。平成23年度では、若年成人を対象として、正弦波状に移動する視標への追従能の頚部前屈保持に伴う変化を検討した。被験者は、18歳~22歳の健康な若年成人10名からなる。頚部前屈角0度にて下顎部を支持台に置いた姿勢(安静頚部姿勢)と、下顎部を支持台に置かずに最大頚部前屈角度の80%を保持した姿勢(頚部前屈姿勢)にて、正弦波状に移動する視標を眼球運動で追従させた。視標の移動角は左右10度に設定し、移動周波数は0.1Hzから1.0Hzまで0.1Hz刻みに設定した。各条件の試行時間は30秒間とし、試行数は3回ずつとした。視標の移動に対する眼球運動の相互相関係数の最大値を算出した。いずれの姿勢も、相互相関係数の最大値は、移動周波数が高くなるにつれて低下した。頚部前屈保持時の相互相関係数の最大値は、安静頚部姿勢でのそれに比べて高く、0.7Hz以上の周波数において有意差が認められた。これらのことから、頚部前屈姿勢を保持すると視標追従能が高まることおよび、その向上は移動周波数が高い場合に顕著となることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では、若年成人を対象に、視標追従能の頚部前屈保持効果について検討を行った。測定およびデータ解析を終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、眼球運動反応時間および視標追従能の頚部前屈保持に伴う変化の発達様相について検討するものである。大学周辺の幼稚園・保育園および小学校と連携し、連携事業の一つとして本課題を行っている。平成24年度は、平成23年度に検討した視標追従能の頚部前屈効果について、幼児・児童を対象に検討を行う予定であり、これを遂行するため、ひきつづき、大学周辺の諸機関と連携強化に努める。
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