2011 Fiscal Year Annual Research Report
姿勢協同筋を中心とした神経系システムの補償的作用ならびにその加齢的変化
Project/Area Number |
22570229
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
伊東 太郎 武庫川女子大学, 健康・スポーツ科学部, 教授 (40248084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
|
Keywords | 全身的協関 / 姿勢調節 / 加齢変化 / 疲労 / 筋電図 |
Research Abstract |
立位姿勢での動的な多関節運動において,姿勢調節に参画する筋が疲労した場合,他の姿勢協同筋が補償し平衡保持を図ることが予測されるが,その機序はいまだ明らかではない.この姿勢協同筋の補償機能は,とくに高齢者の安全な生活遂行能力(転倒予防)の確保にとって重要である. 安静立位から片上肢の前方挙上による錘の投球動作を実施し,その際に姿勢筋である前脛骨筋を疲労させ姿勢協同筋の回復様相をみると,疲労直後に疲労姿勢筋の活動は消失し,替わって協同筋である大腿二頭筋や脊柱起立筋の有意な活動増大が認められ,姿勢協同筋の補償機能の存在が確認された(平成22年度).平成23年度は,若年成人22名を被験者とし,近赤外分光法(NIRS)を用い,疲労回復中の前脛骨筋の酸素動態を筋電図と同時記録した。被験者個々で姿勢筋の疲労回復時間(姿勢筋活動の出現時間)は異なったが,被験者各々の前脛骨筋における筋内酸素濃度の回復と姿勢筋としての再活動開始時間が符合した.一方,水泳選手群は疲労回復中の再酸素化時間が6分以上経過したのに対し,投球動作に習熟しているソフトボール選手群は15秒程度であった.疲労困憊後の局所骨格筋の再酸素動態は,クレアチンリン酸動態と一致することが示唆されており姿勢協同筋適応能は習慣的に実施する運動の種類に影響を受けることが示唆された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
姿勢筋疲労による姿勢協同筋の補償作用に関する現象とそのメカニズムについては、検証を重ねることができた.のこり高齢者の被験者について姿勢協同筋の補償作用が若年成人とどのような差があるのか、実験を重ねる段階に来ている.
|
Strategy for Future Research Activity |
若年成人で進めてきた実験を、高齢者も同様に実施を進めていくことが今年度の課題である.ただし、姿勢筋の疲労困憊に至らせる手法として筋力トレーニングを実施してきたが、高齢者への安全性と倫理性を考慮した対応策を、現在、研究分担者と共に協議中である.
|