2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 友彦 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40261333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和憲 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・畑作研究領域, 主任研究員 (80414754)
松平 洋明 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・寒地作物研究領域, 研究員 (90549247)
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Keywords | テンサイ / 組織培養 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究の目的は、組織培養が非常に難しい作物であるテンサイ(サトウダイコン)の培養適性向上である。アグロバクテリウムを介した遺伝子導入に耐えうるような,カルス化から植物体再分化までの一連の組織培養が可能なのは唯一テンサイ系統NK-219のみであるが,この性質がいかなる機構に基づいているのか明らかではない。 1.再分化の良好なNK-219と、再分化がほとんど見られないNK-239xNK294を再分化培地に置床し、発現の異なるcDNAを収集した。まずサブトラクションライブラリーから候補遺伝子225個を選び出して塩基配列を決定した。そのうち41個についてはリアルタイムPCRにより発現量を詳細に調べた。いくつかの遺伝子が、再分化培地に置床後7日目からNK-219特異的に急激に発現することを発見している。HR-3と命名した遺伝子はその代表で、RACE法によりcDNA全長を得たが、データベース中に相同遺伝子は見つからない。 2.前年度までに組織培養適性が遺伝形質であることが分かったので、これを他の形質と組み合わせることが可能か調べることにした。優性遺伝子Bは春化非要求性を付与するので、NK-219にBを持たせ、一年生で培養適性に優れるテンサイの作出を試みた。まずNK-219とTA-33-O(BB系統)を交配した。TA.33-Oはカルス化が起こりにくいことが分かっている。このF1が、春化非要求性であることを確かめた。次に培養適性を調べた。その結果、カルス化と再分化がともに良好であったが、再分化のタイミングがNK-219より早い傾向にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テンサイの培養適性について、培養適性の指標となるマーカー遺伝子候補が得られていること、および遺伝形質として扱えることを実際に示せつつあることを根拠としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針として、研究開始より得られたデータを活用する方向で進める。分子レベルでは、発現量の異なる遺伝子について詳細に調べる。培養適性の遺伝形質としての振る舞いを詳細に調べるとともに、分子データとの統合を試みる。
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