2010 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポゾン様遺伝子の進化的多様化と機能性非翻訳RNA解析
Project/Area Number |
22580005
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
富田 因則 鳥取大学, 農学部, 准教授 (70207611)
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Keywords | ムギ類 / トランスポゾン / 進化 / 染色体 / 遺伝子座 / イスラエル / オオムギ |
Research Abstract |
トランスポゾン様遺伝子RevolverはA、S(B)、DおよびABゲノムを持つコムギの祖先種やライムギその他の近縁野生種には存在しているが、パンコムギのABDゲノムでは約1万年の進化の過程で消失している。パンコムギの祖先種やライムギ、オオムギ、チノパイラム、ダシパイラムなどのムギ類の植物種について、Revolver遺伝子座の構造と塩基配列を解析して、これら種属の進化的関係を分析するために、Revolverトランスポゾンの内部配列をプライマーとするI-PCR法により、トランスポゾンに隣接するDNA断片を増幅した。引き続いて、各トランスポゾン遺伝子座の隣接領域の塩基配列を決定し、ライムギ染色体(Secale cereale)、オオムギ染色体(Hordeum vulgare、H.spontaneum)を添加したコムギ系統を鋳型にして隣接配列をプライマーとするPCRによってRevolverトランスポゾンが挿入された同祖染色体を決定した。さらに、ライムギやオオムギの染色体に位置づけられたRevolver遺伝子座のプライマーセットを利用して、ハイファ大学進化研究所との海外共同研究により、ムギ類の起源地イスラエルの多様な20の生態系に由来し、遺伝的変異に富む多様なエンメルコムギTriticum dicoccoides、野生オオムギHordeum spontaneumのコレクション約220系統について、Revolverの消長を解析し、トランスポゾンの動態を生態ストレスの面から考察した。エンメルコムギは、現代の4倍体、6倍体の栽培コムギやライコムギが持つAABBゲノムの祖先種であり、乾燥地、湿地などの多様な生態系に適応し、コムギ、救荒作物ライコムギ育種の遺伝子給源となる野生資源植物である。
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