2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬用人参栽培における土壌肥料学的アプローチによる早期収穫技術の確立
Project/Area Number |
22580012
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00346371)
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Keywords | 薬用人参 / 連作障害 / 石灰 / カルシウム / リン酸 / スーダングラス / ナタネ / ヒマワリ |
Research Abstract |
前作作物すき混み後の土壌のpHにはその種類による差は認められなかったが,硝酸態窒素濃度はスーダングラスおよびナタネで高く,ひまわりは無作付けとほぼ同等だった.スーダングラスおよびナタネはC/Nが低いため,すき混み後の分解がヒマワリよりも速く,そのため硝酸対窒素濃度が高くなったと考えられる.同様にスーダングラスとナタネすき混み後の土壌では有効態リン酸の増加が顕著であった(表1).供試土壌は黒ボク土であるため,リン酸は土壌中のアルミニウムや鉄に吸着されやすく,リン酸の肥効が劣ることが知られている.ナタネは根から多量のクエン酸を放出することで,吸着されたリン酸を遊離する能力に優れており,すき混み後の土壌における有効態リン酸の増加はこのようななたねの養分吸収特性が影響していると推察される.そのため,有機栽培を行う上で,これらの作物は,土壌の肥沃度を迅速に高める緑肥作物として有望であると考えられる. 石灰質資材の施用による植え付け初年目(2年生)の人参の生育への影響は認められなかったが,根のCa含有率は石灰質資材の施用により増加した.一方,石灰質資材の施用により,Mnの含有率は低下した.同様の結果がKnsler et al(1990)により報告されている.それによると,播種前に石灰質資材を施用することにより,人参の生育および根の肥大が促進され,増収につながっている.また,リン酸の増施も根の肥大には有効であった.いずれも大根島の黒ボク土では不足している成分であり,今年度の実験およびKnsler et al(1990)の報告を考慮すれば,今後,石灰施用を継続するとともにリン酸の増施を行うことで,根部肥大の促進の可能性が示唆された.
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