2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬用人参栽培における土壌肥料学的アプローチによる早期収穫技術の確立
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22580012
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
松本 真悟 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00346371)
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Keywords | 薬用人参 / 被覆資材 / 光合成 / カルシウム / 連作障害 |
Research Abstract |
慣行区と比較して新資材区の乾物重は,葉身および茎では2倍以上,根では3倍以上の値となり,全乾物重も約3倍の値となった.乾物分配率では,新素材区で慣行区よりも葉や茎への分配が少なく,根への分配が多いことがわかる.その結果,T/R比は新素材区で低くなった. 光合成速度測定の結果,新素材区の自然光条件(光強度423.4μmol m^<-2>s^<-1>)での上位葉の光合成速度は1.52μmol m^<-2>s^<-1>となった.前回(2009年8月10日)の測定では光強度500μmol m^<-2>s^<-1>で光合成速度は約3.5μmol m^<-2>s^<-1>だったことから,今回の数値は非常に低いことがわかる.新素材区の下位葉と慣行区で新素材区の自然光条件と同じ光強度で測定したところ,光合成速度は約2.0μmol m^<-2>s^<-1>と高くなったことから,新素材区の上位葉は強光により光阻害を受けていることが考えられる.前回の測定では光強度500μmol m^<-2>s^<-1>程度で光合成速度は飽和し,それ以上では光阻害を受けることを示している.今回の素材では太陽光を1/3程度カットしていたが,真夏の日中は2000μmol m^<-2>s^<-1>程度まで光が強くなるので,現在の素材でも光阻害を受ける光条件に晒されることも予測される.また,測定時の気温は前回が33.1℃,今回が33.9℃(今回は一部気温を制御した)と大きく変わらないが,6月下旬から7月上旬までの日平均気温は2009年よりも今年のほうが高いので,高温がより光阻害を助長したと推察される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
島根県松江市との連携により,産地現場で実際に本研究の成果を活用した圃場試験を実施しており,産地再生のための基盤を確立できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの試験において,白色寒冷紗を利用した簡易被覆法で栽培することにより,光合成速度が向上し,薬用ニンジンの乾物生産量が増大することが明らかになった.しかしながら,慣行の栽培法では追肥を行わないことから,成長量の増大に伴って,養分不足が原因と考えられるクロロシスが頻発した.そこで,本年度は永年性作物の追肥に有効と考えられるペースト側上施肥を行い,薬用ニンジンの生育促進への効果を検証するとともに,早期収穫のための肥培管理マニュアルの作成を行う.
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Research Products
(1 results)