2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国産多収性水稲品種における窒素および水利用効率の評価と向上に関する研究
Project/Area Number |
22580015
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宮崎 彰 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (00304668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 由徳 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (00093956)
楠谷 彰人 香川大学, 農学部, 教授 (80225143)
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Keywords | イネ / 多収性品種 / 窒素 / 水利用効率 / 中国 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
1.中国産多収性水稲の窒素吸収および収量性に及ぼす緩効性肥料の施用効果 中国揚子江下流域に位置する江蘇省は,中国屈指の水稲栽培地帯であるが,多施肥栽培が行われており,窒素(N)肥料の平均施用量が300kg/haにも達する.そのため,余剰成分の流失による周辺水域への環境負荷が懸念されており,施肥N利用効率の向上が必要である.本研究では,(1)江蘇省における多施肥栽培の現状を明らかにするとともに,日本と比較した施肥N利用効率を算出した.また,(2)緩効性肥料の施用による中国産多収性水稲品種の収量性を明らかにした.(3)緩効性肥料の施用によるN吸収と施肥N利用効率の品種間差異を明らかにした.(4)緩効性肥料の施用はN吸収を高めるが,それに伴う登熟性の低下を軽減させた.これは出穂前に蓄積された同化産物が緩効性肥料の施用によって増加したことによるものであることを明らかにした.成果(2)を国際学会で発表し,受理された.成果(1)と(3)を現在,学会誌に投稿中であり,(4)を投稿準備中である. 2.節水栽培条件下における中国産水稲品種の収量および水生産性の評価 中国北西部では降雨量の減少や工業用水の増加により水不足が深刻であり水稲栽培面積が減少しつつある.水の効率的利用のためには節水栽培条件下における品種特性を明らかにする必要がある.そこで,節水栽培した中国産水稲品種の給水量および水生産性(収量/給水量)を明らかにし,それらと収量およびN吸収との関係を明らかにした.本成果については,現在とりまとめ中であり,学会講演会で発表する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では中国産多収性水稲品種の窒素・水利用効率を評価し,品種育成のための基礎的知見を得るとともに,窒素・水を有効に利用するための栽培技術を構築することを目的とする.窒素吸収については順調に成果が出ており,さらに学会誌への投稿を進めている.水利用効率の評価については実験結果をとりまとめ中であり,引き続き実験を行う.中国現地での実証実験はやや遅れているが,次年度からの開始が決定している.
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Strategy for Future Research Activity |
窒素利用効率の評価については継続して論文投稿を進める.水利用効率の評価については節水栽培による登熟性の新たな評価方法を新規に追加する予定である.中国現地(天津市)での節水栽培実証実験を進めるため,現地を訪問し,実験計画をつめる予定である.
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Research Products
(3 results)