2011 Fiscal Year Annual Research Report
地理的DNA変異に基づく稲作随伴雑草タイヌビエの日本への侵入・拡散ルートの解明
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22580017
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
保田 謙太郎 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00549032)
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Keywords | タイヌビエ / 葉緑体DNA変異 / 系統地理 / 水田雑草 / 小穂F-C型 |
Research Abstract |
稲作とともに日本国内に拡がったとされる稲作随伴雑草タイヌビエを研究対象として、葉緑体非コード領域DNAの広域シークエンス分析(約7000bp)を行い、日本国内および近隣諸国におけるタイヌビエの遺伝的類縁性を明らかにする。さらに、得られた変異をSNPS法で検出する方法を開発し、日本および近隣諸国の多数(約250地点)のタイヌビエの地理的遺伝変異を分析する。稲作随伴雑草タイヌビエが本当に稲作の伝播とともに日本に侵入し、拡散したのかという雑草学における根本的問題の解明を目指す。本年度は、九州北部、中国地方、近畿の一部、中部地方、関東地方、東北の一部地域でタイヌビエをサンプリングした。さらに、約7000bpのシークエンス分析によって日本国内および近隣諸国におけるタイヌビエ(29系統)の遺伝的類縁性と葉緑体DNA変異カ所(13)を明らかにした。さらに、得られた変異をSNPS法で検出する方法を開発し、その手法を活用すれば、タイヌビエを8タイプに分けられることを明らかにした。さらに、その手法を用いて、日本産(79系統)および外国産(134系統)についてタイプ分けを行い、東北北部地域には3型が多く、日本海地域には2型が多く、近畿や九州地方、中国には1型が多いように、葉緑体DNA変異に地理的な傾向があることを明らかにした。また、収集した日本産サンプルの小穂の形態変異(F-C型)についてのデータをまとめ、F型は日本全国に、C型は九州北部、近畿地方などに多いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タイヌビエのサンプリングも順調に進捗し、日本国内では四国と近畿の一部を残すだけとなった。また、シークエンス分析による変異の特定も完了し、SNPS分析も順調に進捗している。研究は最後の段階に来ており、多くの成果について論文の執筆に取りかかれる段階となった。今夏の四国と近畿のサンプルの収集と分析結果を加えれば論文は完成する。また、当初は予定していなかったタイヌビエの小穂F-Cタイプ分布の成果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進捗している。また、予算的にも関係の研究で大学内研究費に採択され、研究の進捗が早まった。論文の執筆を含め、平成24年度中に本課題の全行程を完了させる予定である。
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