2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580019
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
道山 弘康 名城大学, 農学部, 教授 (50167665)
|
Keywords | ソバ / buckwheat / 側枝発生方向 / 葉の成長 / 節間伸長 / 菊型草姿 / 環境保全型農業 / 雑草抵抗性 |
Research Abstract |
平成23年度は,菊型草姿の発現のために重要な成長形質を1)葉が大きいこと,2)主茎下位に短い節間が一定以上存在すること,3)側枝の発生角度が大きいことの三点に焦点を当てて,それらに及ぼす日長および気温の影響について検討を加えた.日長時間に関しては,自然日長の約14.5時間に比べて16時間以上では初花節が上昇して開花始期が遅れ,最長葉身長を示す葉位が上昇し,最長葉長が長くなった.また,主茎下位の短い節間数が多くなって,側枝の発生角度が大きくなった.これらから,16時間以上の長日条件は菊型草姿の典型的な成長形質を発現させることが明らかになった.一方,気温に関しては,最長葉長を示す葉位には影響しないが,最長葉長には影響を及ぼし,気温25℃一定のときは約8cmであったのに,20℃一定では約12cmにもなった.また,気温20℃一定では側枝の発生角度が大きくなった.しかし,気温20℃一定では25℃一定と比べて初花節が低く,短い節間の数が少なくなった.これらから,25℃に比べて20℃の低温条件では,葉が大きく,側枝が水平方向に伸長するといった菊型草姿の一部の成長形質を発現させるが,主茎下位の短い節間の数は少なくなることが明らかになった.予定に無い昼夜変温の影響も調査し,昼夜変温は葉身長および短い節間の数には影響しないが,最長節間長,葉柄長および側枝発生角度を増加させ,それらが低夜温の影響であることがわかった.本年度の実験では,16時間以上の日長時間の間で菊型草姿の成長形質発現の程度に差がみられず,実験場における処理区の配置に問題があった可能性が考えられた.また,低温区の主茎上位の葉長が高温区より短く,低温区の葉長測定時期が早すぎた可能性が考えられた.よって,次年度はこれらを改善して追試験を行いたい.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定に関する問題点を解決するために予定以上の再試験を繰り返している.そのため,当初,23年度に学会発表をできると考えていたが,24年度にまわってしまい,国内の試験研究機関の訪問ができないままに終わっている.また,圃場試験に進んで,雑草抑制程度の確認までの段階に至らなかった.ただし,これに関しては計画段階で欲張った感が否めない.しかし,23年度の予定には入っていなかった昼夜気温較差の実験を行っており,計画以上に研究が進行している部分もある.これらを総合すると「(2)おおむね順調に進展している」の評価が適当と考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験では,16時間以上の日長時間の間で菊型草姿の成長形質発現の程度に差がみられなかったこと,および低温区の成長速度との関係から測定時期に疑問が残ったことから,再現性を確認する必要性が考えられた.22年度に実験データの検討から冬に人工気象室で急遽再試験を行ったが,太陽光不足からソバは正常な成長をしてくれなかった.このように,本分野の研究は一年に一度の栽培時期しかないため,再試験をして研究データを確実なものにするには複数年の実験が必須であり,研究に長い時間がかかることに問題がある.当然,これらは研究計画を立てて申請するときに織り込み済みであり,次年度はこれらを改善して追試験を行うことにしている.これまでの研究成果に,次年度の再試験の研究成果を加えて,論文として公表したいと考えている.
|